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散々泣いた私のメイクはボロボロ。
それでも「可愛いから気にせんで」なんて言ってくれる謙杜は、高校生の時と全く変わってなかった。
近くにあったベンチに座り直して、お互いの近況を報告しあった。
謙「へぇ、じゃあ教育学部やなくて国際学部なんや」
『うん。その中の教諭コースで英語を勉強してるの』
謙「大学ってむずいなぁ」
腕を組んで眉毛をぎゅっと中心に寄せる謙杜。
私は専門学校のことが全く分かってないから、謙杜の方がずっと難しく感じるけど。
専門学校は2年制だし、私よりも半分の年数で学校を卒業することになる。
専門学校を卒業して1年が経った謙杜は、詳しいことは教えてくれなかったけど、順調とだけは伝えてくれてた。
『謙杜は？卒業してから1年くらい経ったけど、順調？』
謙「うん。めちゃくちゃ」
『そっか、良かった』
謙「俺、それを伝えたかってん」
『え？それ？』
謙「まだ友達に言うてない。Aに1番最初に伝えたかったことがあんねん」
私の方へ向き直った謙杜は、どこか幼さを残しつつもしっかりと顔の整った成人男性。
焦げ茶色の髪がゆらゆらと揺れると、ふわりと笑った。
謙「芸能事務所で衣装デザインの仕事が貰えてん」
『えっ、ほんとに！？』
謙「うん。ちゃんと面接して、内定も貰った」
『すごいじゃん！』
思わず謙杜の手を掴む。
すごい。すごすぎるよ。
やっぱり、大阪に戻ってたくさん勉強した甲斐があったんだ。
『おめでとう！』
謙「んふ、ありがと。でもまだびっくりするんちゃうかな」
『え？』
謙「その芸能事務所、ジャニーズなんよ」
『えっ！？ジャニーズって、あのジャニーズ！？』
謙「そう、あのジャニーズ」
『すごいよ謙杜！』
謙「あんまり詳しくは言われへんけど、近々デビューする予定のグループの衣装担当が固定で俺になって、いろんなライブの衣装とかデザインするねん」
なんで謙杜はなんでも出来ちゃうんだろう。
謙杜のやりたかったことが叶って、私も嬉しくない訳がなかった。
手を握りながらずっと、すごいとしか言えなかった。
でもなんでか、自然と涙が出てくる。
嬉しいはずなのに、私の心は嬉しいという感情だけで涙が溢れてる訳ではなさそうだった。
謙「…さっきまで喜んでくれてたやん。なんで悲しそうな顔すんの？」
謙杜が遠くに行ってしまいそうで怖かった。
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檸檬の妹(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと前から読ませていただいて、作品がとても面白かったです！アナザーストーリーもしっかり読ませていただきます！ (2022年12月4日 11時) (
レス) @page50 id: 1fb600e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 下書き、頑張って！！応援してます！！ (2022年8月16日 9時) (レス) @page27 id: 64ad605d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずべりぃ | 作成日時：2022年7月1日 21時
