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勢いで立ち上がって出ていきそうになるのをぐっと堪え、Aの目を見つめる。
いつもならAは小さくなってしまうんやろな。
でも今はちゃう。
なんか分からんけど、俺と真正面でぶつかってきてる気がする。
『…私、そんなに賢くないよ』
謙「え？」
何を言われるのかと身構えていると、思ってたんと違うところから言葉が飛んできて、ほんの一瞬気が緩んだ。
『そうだよ、私は謙杜のこと何も知らない。だって何も言ってくれないから分かんないんだもん。謙杜みたいに人の顔色伺って察せるほど、私賢くないよ』
一切目を逸らさずに言うAの瞳がぐらりと揺らぐ。
『私は謙杜にいっぱい相談した。楽しかったことも辛かったことも、全部話した。でも謙杜は私に楽しい話しかしなかった』
謙「それは…」
『隠したかったんでしょ？謙杜は優しいから、私に何もダメージを与えないようにしてたんでしょ？…でもさ、話が違うよ』
『私だって何も考えずにこんなこと言ってるんじゃないよ。道枝くんに謙杜の事情教えてもらって、バイト先の先輩に進路の話いろいろ聞いて、私も自分の進路とちゃんと向き合って…』
謙「頼んでへん」
『っ…』
謙「Aなりにいろいろ考えてくれたんかもしれん。でもさ、俺そんなこと頼んだ？」
俺の事を全部見透かしてるように喋ってくるのにイラッときてしまった。
でも、知ったかぶってるAにイラついてる訳じゃない。
全部見透かされた上で何も返す言葉が無くて、でもそんな自分を認めたくなくて、そんな認めようとせん自分がウザくて。
Aに当たるべきじゃないのに、俺の中のブレーキはすっかり壊れてしまったらしい。
謙「俺が何しようと何になろうと関係ないやろ。勝手なことすんのやめてくれん？そういうのお節介って言うねんで」
『なんでっ！』
突然の大声に、ビクッと跳ねる。
え、A…？
するとハッとしたように顔を上げ、俺を見た。
Aのその目にはいっぱいの涙が溜まっていて、今にもこぼれ落ちそうやった。
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檸檬の妹(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと前から読ませていただいて、作品がとても面白かったです！アナザーストーリーもしっかり読ませていただきます！ (2022年12月4日 11時) (
レス) @page50 id: 1fb600e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 下書き、頑張って！！応援してます！！ (2022年8月16日 9時) (レス) @page27 id: 64ad605d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずべりぃ | 作成日時：2022年7月1日 21時
