13話 ページ16
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僕は家路に着いた。
ちょっと帰るのが遅くなってしまったかな。
夕陽も沈み始め、空も暗くなってきた。
早く帰って予習しとかないと。
「本当にふざけないでくれる？」
「ふざけてなどいない！俺は本気だ」
玄関の扉を開けるとすぐ聞こえてきた両親の怒声。
二人は早く仕事が終わって、帰宅。帰ってきたタイミングが同じだったのであろうか、まだ二人ともスーツのままだ。
「…ただいま」
細い声で一応告げる。ポケットに入れた懐中時計を握りしめながら家の中におずおずと足を踏み入れる。
"両親の姿を見るのが怖い。"
何故かそう感じた。
今まで思ったことのない感情だった。
二人の声にも耳を塞ぎたくなる、頭がガンガンして耐えられない。
今すぐ走って部屋に閉じ籠ろうか。いや、部屋に行くには両親の傍を通らなきゃならない。
頭を勉強のときより早く回転させ、今この場をどう凌ぐか考えた。だけど、上手く頭が回らないのかいい案が思い付かない。
とても怖い。寒くない筈なのに鳥肌が立って寒気がする。冷や汗をかき、息も荒くなってしまう。こんなの初めてだ。辛い。助けて。
「大体あなたはいつもいつも…」
「お前だってそうだろうが…」
両親の吠えるような怒鳴り声も心做しか遠くなってく気がする。
冷たいところに横になりたい。
そう思い、玄関の床へと静かに倒れこんだ。
心地良い冷たさが僕を包む。
涙が勝手に目尻から伝う。
僕は泣きたくないのに。
朝早く起きて、お母さんとお父さんと軽くお話しして。
ショッピングモールで懐中時計を貰って。
良いこと沢山合って幸せだったのに。なんで涙が出るの？
両親の喧嘩なんていつものことじゃないか。
今更泣くなんて…
胸が痛いな…。
誰にもすがることの出来ないこの気持ちを、誰かにぶつけることが出来たら良いのに。
誰か僕を救ってよ、誰か僕に手を差し伸べて。
「はぁ…はぁ…」
熱が出たときみたく、息が続かない。
涙も止まらず床に軽く水溜まりが出来ていた。
懐中時計を握り締めながら、胸を抑える。
もう、つらいよ。
やめてしまいたい。
こんなこんな、苦しい思いしたくない。
助けて、お願い。
お父さん、お母さん。
僕の意識はここで途絶えた。
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幸福林檎 - 心理描写もすごく上手くて、大好きな小説です！初めてとは思えない！応援してます(^ ^) (2018年8月21日 23時) (
レス) id: c84f1b316a (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 天岸悠樹さん» はい！お願いしますね！ (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
天岸悠樹(プロフ) - らそまるさん» やったあ！完成したら報告します！ (2018年7月30日 3時) (レス) id: 2eadb8d21d (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 放射性アイソトープさん» 態々ご指摘ありがとうございました。作者らそまるの勘違いにて起こしてしまった間違いです。本当に感謝しております。 (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 黒羽さん» ほんとうですか！？それはとても嬉しいですね、これからもお付き合い願います (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らそまる | 作成日時：2018年7月27日 22時
