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12話 ページ14

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今日は中々楽しい一日だったな。
昨日家に宮本が来なかったら、きっと学校に来ることもなく楽しい時間を過ごすことも無かっただろう。

中学生活初めて宮本に感謝の気持ちを抱いた瞬間だった。


「何か今失礼なこと考えなかったか?」

「全く、逆に良いことを考えてた」

「へー?ま、いいや!」


いきなりすっ飛んでAの前にやって来たと思ったら、またすっ飛んで何処かに行ってしまった宮本。相変わらず騒がしい元気な野郎だ。


「よし、帰ろうかな」


宮本はどうやら部活動があるようなので、今日は一人で帰ることにした。
家に帰っても誰も居ないだろうし、勉強するだけだと思いこの前行ったショッピングモールに足を進めた。


平日の夕方は日曜日と比べると人は少なく、軽々と歩みが進む。この前見付けた、落ち着いた雑貨店にまた立ち寄った。


懐中時計のところへと赴き、先日のように見詰める。売れていなくて良かった。心惹かれるこの懐中時計は、雰囲気を持っていてやはり落ち着く何かを持っている。心が癒されていくのを感じ、来て良かった。そう心から思えた。



最近は立て続けに色々合って、心の整理ができて居なくA自身、自分に余裕が無かった為懐中時計を見るのはちょっとした気分転換だったのだ。


「その時計気に入ったかい?」

「え?あ、はい。素敵な時計ですよね」


気づいたら店主の方らしいおじさんが隣に立っていて、Aに声を掛けてきた。貫禄があるような、少し渋めの店の雰囲気と同じく落ち着いた雰囲気を纏っていた。


「この前も見に来てくれていたよね」

「え、覚えてくださってたんですか?」

「じっくり懐中時計を見ている少年なんて君くらいしかいないからね、覚えちゃったよ」


愉快な笑い声を響かせながら、そう言ってきた。笑うと出来る笑い皺が店主のおじさんの優しさを表しているように思えた。


「それね、私が若い頃に手に入れた思い出深い懐中時計なんだよ。でも、中々買い手が見付からなくてね」

「そうなんですか、こんなに素敵な時計なのに」

「良かったら君が貰ってくれないかい?」

「え、でも僕こんな大金持ち合わせていないですよ…?」

「いいよいいよ、あげる」


「君は私の若い頃にそっくりだ」と言いながら半場強引に懐中時計を渡してきて、思わず貰ってきてしまった。
あの素敵な懐中時計が自分の手元にあると思うと笑みが溢れ、得をした気分だ。




早起きは三文の得。三個目の得だった。




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幸福林檎 - 心理描写もすごく上手くて、大好きな小説です!初めてとは思えない!応援してます(^ ^) (2018年8月21日 23時) (レス) id: c84f1b316a (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 天岸悠樹さん» はい!お願いしますね! (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
天岸悠樹(プロフ) - らそまるさん» やったあ!完成したら報告します! (2018年7月30日 3時) (レス) id: 2eadb8d21d (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 放射性アイソトープさん» 態々ご指摘ありがとうございました。作者らそまるの勘違いにて起こしてしまった間違いです。本当に感謝しております。 (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 黒羽さん» ほんとうですか!?それはとても嬉しいですね、これからもお付き合い願います (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らそまる | 作成日時:2018年7月27日 22時

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