10話 ページ12
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無機質な目覚まし音が耳を貫いた。
一睡も出来なかった。考えて考えて、涙を溢しながらそんなことをしていたらいつの間にか朝になっていた。
お父さんはとっくに、仕事へと出ていってしまった。
今は家で一人だ。取り敢えず学校へと行こうかなと、下へと降りた。
いつもはあまり感じないが、誰も居ない鎮まり帰ったリビングを見るととても冷たく感じ、また涙が頬を伝う感触がした。それをまた拭って、無視するかのように洗面台へと足を進めた。
鏡に映るAはとても醜い。
目元は腫れ、父親譲りの群青色の瞳があまり見えない。鼻も赤くなり、顔色も悪く正に顔面蒼白と言った感じだった。
生気を感じられない自分自身を見たAは、学校に行く気を失いまた自室のベッドへと戻っていった。
「今日は休んじゃお…」
そう呟き、泣き疲れたAは眠りに着いた。
眠って何時間経ったのだろうか。
うるさくチャイムが鳴り響く。寝惚けている頭を覚醒させようと、努力しながら玄関をあける。
「うっわ、ひっでぇ顔してんな」
「は？」
「よっ！担任に頼まれて様子見に来た」
チャイムの主は宮本だった。
無断欠席をしたAを心配して、担任が宮本を家に寄越したのだろう。
取り敢えず家に上げ、ソファーに座るよう促す。
「よく僕ん家分かったね」
「担任が地図描いてくれたからな」
Aが出したオレンジジュースを飲みながら答えた宮本。このオレンジジュースもお祖母ちゃんが買ってきてくれたものだ。
「ごめん、今日調子悪くてさ」
「うん、顔色悪いもんなーお前泣いただろ」
「まぁ…色々合ってね」
「ふーん？ちゃんと冷やさないと駄目だぞ」
「わかってるよ」
心配してくれてる宮本が心に染みて、また涙が溢れてきそうになった。誰かに助けを求めたいが求められないもどかしさがAを苛立たせた。目の前にいる宮本に、助けての一言が言えたらどんなに楽か。
「んまぁ取り敢えず、明日は学校来いよな」
「うん、行くよ」
「約束な！じゃあ俺帰るわ」
「あ、これプリントな」
「うん、態々ありがと」
「どういたしまして、じゃあな！」
オレンジジュースを一気飲みして、元気に去っていった宮本。ちょっと元気が分けられたような気がして、宮本の後ろ姿を見ながら僅かな笑みを溢した。
明日はちゃんと学校に行けるよう、保冷剤を冷凍庫から取り出しタオルにくるんで目元に持っていった。
「つめたいな」
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幸福林檎 - 心理描写もすごく上手くて、大好きな小説です！初めてとは思えない！応援してます(^ ^) (2018年8月21日 23時) (
レス) id: c84f1b316a (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 天岸悠樹さん» はい！お願いしますね！ (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
天岸悠樹(プロフ) - らそまるさん» やったあ！完成したら報告します！ (2018年7月30日 3時) (レス) id: 2eadb8d21d (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 放射性アイソトープさん» 態々ご指摘ありがとうございました。作者らそまるの勘違いにて起こしてしまった間違いです。本当に感謝しております。 (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
らそまる(プロフ) - 黒羽さん» ほんとうですか！？それはとても嬉しいですね、これからもお付き合い願います (2018年7月30日 3時) (レス) id: b11db4f032 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らそまる | 作成日時：2018年7月27日 22時
