80話 ページ38
・
『それで、できるだけらすくんの予定に合わせるつもりだけど…いつが空いてる？』
優しいまふくんの言葉に、一応カレンダーを確認。
たまに休日出勤を命じられることもなくはないけど、俺の週末はだいたい暇だ。
「土日ならいつでも。みんなの予定に合わせるよ。出張も今のとこ入ってないし」
『りょーかい。じゃあまた日程調整して連絡するね』
「ん。ありがと」
いーえ、と柔らかい低音が返ってくる。
これで電話は終わりかとも思ったけれど、どうやらまふくんのお喋りはまだ終わらないらしい。
『そういえば今日そらるさんと会ったんでしょ？Twit〇er見た！僕も会いたい！』
「いやTwitt〇r見るの早すぎだろ。さっき呟いたばっかだぞ」
元気に会いたいアピールをしてくるまふくんに、思わず苦笑いが零れた。
確かにまふくんは優しくていいやつだけど、なにぶん顔面偏差値が高すぎる。キラキラしてるから隣にいんの申し訳ないんだよ。
『だって僕らすくんに通知入れてるもん。すぐ反応できるように』
「……は？まじ？」
それって歌い手リスナーさんが推しに通知入れてるのと同じなのでは。
すぐ反応できるようにって……まふくん俺のこと好きすぎか。…可愛いやつだな。
「何か照れる…」
ぼそりと呟くと、スマホ越しにまふくんに小さく笑われた。
そのせいでよけいに顔に熱が集まってきて、…あーもう、どうしてくれるんだよ。
『らすくんって普段クールなのに意外と照れ屋さんだよねぇ』
「別にクールでも照れ屋でもありませんけど？」
……しょうがないだろ。まっすぐ向けられる好意に照れるなって言う方が難しい。
こればっかりはいくら歌い手として活動していても慣れないんだよな…。
『ふふ、また近いうちに会おうね。ご飯でも食べに行こうよ』
「うん是非。俺もまふくんと会えるの嬉しいから」
こっちばかり照れるのも癪で、多少のイタズラ心で小悪魔女子っぽいことを言ってみる。
思っていたより効果は抜群だったみたいで、スマホの向こうの時間が一瞬止まった気がした。
……悪かったな成人男性がこんなこと言って。ふざけただけだから許して。
『…っじゃあまたね！ばいばい！！』
「え、ぁ」
一際大きいまふくんの声の後、またねと返す暇もなく通話が終わる。
ツーツーと虚しく通話終了の音が響いて、思わず呆然としてしまった。
……いくら何でもそうまですることなくない？今度会ったとき謝るからさぁ…。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁☆(プロフ) - めぞぴあのさん» コメントありがとうございます！頑張って更新します✨️ (7月13日 0時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
めぞぴあの(プロフ) - ハマりました！続き楽しみです！ (6月29日 21時) (レス) id: 269b094ab0 (このIDを非表示/違反報告)
月 - あの。はい。無事に沼りました。更新、ありがとうございます！ (6月25日 20時) (レス) @page50 id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます！大手歌い手さんも魅力いっぱいなので、ぜひぜひこの機会に沼にハマっちゃってください〜！ 私の話がきっかけになってくださればとても嬉しいです！ (6月21日 15時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
月 - うわー…。文章力すごすぎません？ これから読んでこの界隈はまりそうです。irisとかはずっと好きなんですけど、大手歌い手さんには手を出してなかったんです。更新、無理のない範囲で頑張ってください！ (6月20日 3時) (レス) id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁☆ | 作成日時：2020年5月6日 22時
