73話 ページ30
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──ミスっていうのは続くもので。
月曜日。お得意様との取引がある、大事な日。
午前中、あの新入社員ちゃんが全消ししてやり直したデータをプリントアウトしたのは良かった。
午後、それをいくつかのファイルに分けて入れて、それから取引先に赴くために車に乗ったのも良かった。もちろん新入社員ちゃんも一緒に。
問題はそれからだ。
彼女に資料を渡してしまったのがいけなかったのだろうか。
取引先の方と会うため車を下りて、目当ての会社へ入り。
時間ピッタリに始まった取引。
その途中、あと少しで説明を終えられるというところで気付いたのだ。
──ファイルが1つ、足りない。
隣に座っている新入社員ちゃんが青ざめている。彼女も気付いたようだ。
「えぇっと…」
今回の取引は彼女を中心に、俺は見ているだけという役割だった。
元々俺はここの社長に何故か気に入られている。
だから俺がついていれば、多少新入社員ちゃんがミスをしても大丈夫だろうという課長の考えだ。
──でもこれはさすがにヤバい。
あのファイル、予算とかお金系のことがまとめてあっただろ。
「どうかしたか？」
強面なここの会社の社長、つまり今回の取引相手が眉をひそめて新入社員ちゃんを見る。
えっと、と新入社員ちゃんは泣きそうな声で呟いて、それからうつむいてしまった。さすがにそれはやばいって。
「……すみません、説明代わらせていただきます」
仕方なく俺が声をあげ、彼女と説明を代わることにした。
…あとから少しだけ彼女のことは叱ることになりそうだ。
いくらトラブルでも、うつむいて何も説明なしじゃあ失礼すぎる。
……まあ、その忘れてきたファイルに入ってるデータが俺が一昨日仕上げたばかりのものだったから良かったけれど。
「今回の予算の件についてですが…」
細かい数字はともかく、大まかな金額はきちんと頭に入っている。
説明自体は多少大雑把になってしまうが、データないんで全く説明出来ません、よりかはマシだろう。
半泣きの新入社員ちゃんそっちのけで、ざっとお金関係のことを説明してしまう。
データは後日持ってくるのと、そのとき細かい話をする約束を取り付けた俺は、渾身の愛想笑いを貼り付けて立ち上がる。
「何度も伺うことになってしまい大変申し訳ないのですが、よろしくお願いします」
俺を気に入っている相手は快く了承してくれて、何とかこの場は収まった。良かった。
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暁☆(プロフ) - めぞぴあのさん» コメントありがとうございます！頑張って更新します✨️ (7月13日 0時) (
レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
めぞぴあの(プロフ) - ハマりました！続き楽しみです！ (6月29日 21時) (レス) id: 269b094ab0 (このIDを非表示/違反報告)
月 - あの。はい。無事に沼りました。更新、ありがとうございます！ (6月25日 20時) (レス) @page50 id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
暁☆(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます！大手歌い手さんも魅力いっぱいなので、ぜひぜひこの機会に沼にハマっちゃってください〜！ 私の話がきっかけになってくださればとても嬉しいです！ (6月21日 15時) (レス) id: f3c28010ce (このIDを非表示/違反報告)
月 - うわー…。文章力すごすぎません？ これから読んでこの界隈はまりそうです。irisとかはずっと好きなんですけど、大手歌い手さんには手を出してなかったんです。更新、無理のない範囲で頑張ってください！ (6月20日 3時) (レス) id: 910387af12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁☆ | 作成日時：2020年5月6日 22時
