第4幕 日常の記憶 ページ5
Aはすぐに退院を許された。
身体的には、何の異常もなかったからだ。
それに外を出回った方が、記憶に対していい刺激になる。
そうして、Aを連れた銀時達が一番に向かったのは、勿論彼らの万事屋だった。
「万事屋銀ちゃん・・・・・」
大きく立て掛けられた看板を、Aは小さく読み上げる。
新八は同意するように大きく頷いた。
「そうです。ここにいる坂田銀時・・・銀さんと、神楽ちゃん、僕・・・志村新八は、
ここでなんでも屋を営んでいたんですよ」
丁寧に説明をする新八を、Aは不思議そうな眼差しで見る。
「なんでも屋・・・・・皆さんと違って、私はここに居なかったのですか?」
「Aの家も就職先も別の場所アル。でもAは毎週ここに遊びに来てくれたネ」
答えたのは神楽。
その声には若干嬉々としたものが混ざっている。
状況はともかく、Aに改めて自分や彼女自身の事を紹介してあげられるのが嬉しいらしい。
銀時も、その雰囲気に便乗してAの肩に手を置く。
「ま、お前の家には後でちゃーんと連れてってやるから、ここもよく見とけよ。
将来お前の家にもなるかもしれないぜ?」
「え?どうしてですか?」
「そりゃ、俺とお前が結こ・・・・・・グハッ」
Aの問いに最後まで答えられずに、銀時は新八に張り倒された。
Aは目を瞬いてその様子を見守る。
だが、やがて小さく笑みを漏らした。
「・・・・・・・・あ」
記憶を失くしてから彼女が浮かべた初めての笑みに、今度は銀時達が目を瞬く。
Aは口元を手で押さえながら、懐かしむような笑みを浮かべた。
「何でしょう・・・記憶がないはずなのに、すごく懐かしい気がします・・・。
これは・・・私にとって、とても大切な光景で・・・大切な記憶・・・だったんでしょうか」
「A・・・・・・・」
神楽はキュッと唇を結ぶ。
そして、また決意を新たにしたような表情を浮かべた。
「A。Aの記憶は絶対に私達が取り戻してあげるネ。だから・・・・」
彼女はまっすぐにAを見つめる。
「信じて」
「神楽・・・・さん・・・・・?」
神楽の優しさが痛いほど伝わってくる。
Aは暫く戸惑った様子だったが、やがて深く頷いた。
「・・・・・・はい!!どうか・・・・よろしくお願いします!!」
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なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時