第17幕 慕わしき人 (主人公サイド) ページ18
「白昼堂々舐めた真似しやがる。神妙にお縄につけェェェェェ!!!!」
パトカーのサイレンと共に、
そんな言葉が響くと同時に、覇気ある歓声が辺りを支配した。
絶望から這い上がる瞬間。
そんなものを、目の当たりにした気がした。
真っ黒な身なりをした彼等を、私は思わず凝視する。
私は彼らを知らない。
知らないはずだ。
それなのに、とてつもなく彼らの元に駆け寄りたい衝動に駆られた。
記憶を失う前の私にとって、とても近しい人達だったのだろうか。
私は震える足で、一歩を踏み出そうとした。
頭がガンガンと痛む。
誰かが声をかけてくる。
----殺せ・・・----
----殺せ・・・殺せ・・・・・・・!!----
凄く苦しい。
それでも、私は彼らの元へ行こうと試みる。
でも・・・・・・。
その時、ふと思い立った。
彼らの元へ行って、私は何をするつもりか。
もし、近しい人達というのが、私の勘違いだったら、どうするつもりか。
白い目で見られたら、どうしよう。
そもそも、今戦っている彼等の元へ行ったら、邪魔者以外の何者でもない。
浅はかな了見だ。
私はもう一度立ち止まって、その場から彼らの姿を見やった。
血の流れと共に、心臓がドクンドクンと鳴り響く。
頭がガンガン鳴り響く。
カタカタと震える手を伸ばす。
足手まといの私。
私は誰?
彼らは誰?
私はこの場に存在するべき人間なの?
・・・人間・・・・・?
そもそも・・・・・・私・・・・・・・・は・・・・・・・・・・。
その時。
伸ばされた手の指の隙間から、一人の人物が見えた。
大勢の中でも、少数しかいない、スカーフを巻いたその人物。
黒い髪。
鋭い眼光。
そして・・・・・。
私が、ずっと・・・・・・慕わしく想っていた、その背中。
まるで焦ったように、内に響く声が大きくなる。
私は弱い。
その声は、強い。
徐々に、意識が呑むまれていくような感覚に襲われる。
頭が痛い・・・痛・・・い・・・・・。
だが、一瞬。
一瞬だけ、その頭痛が引いた瞬間があった。
しかし、胸だけはチクリと痛む。
ボンヤリと霞んでいく景色。
「・・・土方・・・・・・・さ・・・ま・・・・・」
私であって、私で無い。
そんな存在を感じたのは、やはり一瞬で。
その気配が消えると、またもやひどい頭痛が私を襲う。
やがて、そんな痛みも消えていき、私の意識は暗い闇に閉じ込められていった。
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なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時