101話 ページ5
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Aは結局何の答えも出すことはできなかった
きっと正しいのは母。でも、自身にとって動きやすく向いているのはマフィア
でもそれ以上に彼女には探偵社への情が湧いていた
憧れを抱いてしまっていたのだ
一人の人間だけでなく、いろんな人間の為に動く探偵社に
本来は捕獲を命じられていた敦を結果的に住む環境も職場も提供した優しい人達
Aはまだ自分はその中に混じれてない
悪の素質を持っている偽善者
彼女は闇に生きるべき人間
でも、探偵社の一員としてこれからを見ていたいと思ったのだ
____「お主が答えを出すまで待ってやろう。鴎外殿もそれをお望みじゃ。だが、お主はそこにいるべきではないことは理解できたであろう。懸命な判断、待っておるぞ」
すべきと意思は全く別
だから彼女は何をしたら良いのか判らなかった
「……今日は、もう良い。何も貴女と話せる気がしない……それに聞きたいことは粗方聞けた。」
安定しない足を使ってAは退室した
太宰はそれを追いかけ、支える
その光景を見て紅葉は笑っていた
「ああ、なんて愉快な二人じゃ」
太宰とAは愚かだ
自分のやりたいことを優先し、本来自分の才能にあった場所から逃げたのだから
マフィアから逃げ、探偵社でまるで自分が善良な人間の様に振る舞う
結局彼らの根本は悪
それを隠し、互いで守り合う為に身を寄せ合っている状態
だが、果たして太宰や探偵社に今の彼女が救えるのか
それとも、母親が彼女に喝を入れるのか
彼女は探偵社員なのか、マフィアの一員なのか、組合の構成員になるのか
それか母親の犬になるか、父親の暴走を抑えひたすら金を与えるだけの操り人形に成り下がるか
闇を隠す天使になるのか、冷淡な悪魔になるのか
それは彼女次第だ
____「私は、こちら側に来るべきではなかった……?」
Aは脆い
まだ成長途中の精神を演技で隠し、大人の様に振る舞う
母を手本としたその姿を剥がせば一気に不利にも優勢にもなる
マフィアにとって、ある意味扱いやすい人間
後一歩を踏み出せばAはマフィア
それに紅葉は喜んだ
____「……Aはいつも目の前の人物を見ているように思えて頭には次々と色んな事が入っていて、そしてとても見透かされてるような気がする。彼奴は、俺を見ていねぇ。彼奴にとって望む物が必ず手に入らねえのと同じで、俺も手にはいらねえのか」
中也は前にそんなことをこぼしていた
随分毒し毒された蝶だ
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