110話 ページ16
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「此処なら人目も無い……出てきたら?」
駅でナオミと春野を待っていた太宰
敦と待っていたが、何かを察したのか、一人で行動して人気のない車輌基地で足を止めた
太宰が何かに対してそう声をかけた後、
太宰の背後から刃を突きつける人影
「やあ、銀ちゃんか。背、伸びたね」
首に刃物を突きつけられているというのに、緊張感のない声で黒蜥蜴の銀に話しかける太宰
勿論、銀は何も答えない
そして、正面からも人影が見える
「監視はお見通しという事ですか」
正面から太宰に銃を突きつける樋口
その様子に太宰は肩を竦めた
「ポートマフィアの監視術を創始したのは、私だからね……で、用件は?」
「この銃が用件だとは思いませんか?」
銃を突きつけられても太宰はまだ笑っていた
「思わないね。暗殺部隊にしては人選が半端だ。第一……私の暗殺なら希望者殺到で軍隊が出来るよ。ってことで銀ちゃん危ないからこれ下げてくれる?」
太宰の云ったことが当たったのか銀はそのまま担当を下ろした
樋口が口を開く
「……確かに用件は別です。首領より伝言を二つほど言付かっています」
「へえ、森さんから?何かな。脅迫か恨み言か殺人予告か……心当たりが多過ぎて困るね」
「伝言はこうです」
____「太宰君、マフィアの幹部に戻る気はないかね」
太宰は顔を歪ませた
そして、思い切り笑った
「いや、実に目出度いお誘いだ。嬉しくて仕様が無いよ」
「貴方の記録を見ました」
樋口が冷淡に太宰に話す
「その手腕、敵の心臓を刳り貫くような暴虐……貴方の血はマフィアの黒です。この国の誰よりも」
真面目な顔して告げる樋口に太宰は面白がる様に、楽しそうな声で云った
「暴虐なんて只の手続きだよ。退屈なものさ。それに人は変わるものだ。現に其処の銀ちゃんだって昔はこんな小さくて可憐な少女だったのだよ?ねえ」
太宰の後ろにいた銀を樋口は見る
「話を掏り替えないで下さい……」
そう云った銀の声は女だった
しかも、声が目茶苦茶可愛い
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場所は変わり、列車の中
「春野さん、ナオミさん!」
ご無事でしたか、と敦は列車から出てきた春野とナオミに駆け寄る
敦は二人の無事に安心した
そして、その後ろから出てきた人物に敦は驚く
「Aちゃん?!」
「久しぶり…てほどでもないか」
Aはいつも通り優しそうに笑ってそこに立っていた
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