108話 ページ12
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「(……乱歩さんから電子文書だ)」
駅で春野とナオミを待っている時に太宰の携帯に電子文書が届く
そこから守勢に行ったマフィア側の特使がAのことを云ったことを察する
内容はAに気をつけるように促す物だった
「却説……」
森はここで思い切りAを使ってAが戻る為の道を閉ざすつもりなのだ、と察した
森にとってAはどうしても手に入れたい人材だ
彼女が後戻り出来ぬように様々な手を使うだろう
Aは仕事だと割り切って自分達探偵社に手を下すことだってできる
森はマフィアがAと行動しているところを見せて探偵社に彼女は敵であると考えさせたいのだ
そして、多分彼女が来るのはこちら側だ
「(あの子が完璧に堕ちる前に)」
あの時は失敗したが、絶対に取り戻す
そう決意した
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「……駅でもないのに電車が停まった……久作君、そろそろお仕事かもね」
「もう?黒砂糖の飴まだ食べたかったんだけど」
「また後で食べれるから。そろそろ準備しよっか」
電車がまた動き出す
それと同時にAと久作が立った
そしてまっすぐ別の車両へと向かった
「久作君、行っておいで」
「うん」
不気味な人形を持った久作は真っ直ぐ歩いていく
そして春野にぶつかった
「ご免なさい、立ち止まっちゃって」
あわあわと慌てる春野
それを見て久作が一瞬キョトンとした表情をする
「……“ご免なさい”?」
そしてにっこりと微笑んだ
「こちらこそご免なさい。お怪我は?」
そんな久作の後ろからコツコツ、と慌てる足音が近付く
「あ、久作君!私探したんだけど!」
「ああ、ご免ね、Aさん」
Aの登場にナオミが聞いた
「あれ、A?」
「ナオミも、無事で良かった……今私探偵社の状況あまりよく判らないけど、大変なんでしょ?」
「はい……あれ、でもAはなんで……」
「ああ…少し、親に頼まれごとを……こんな非常事態に助太刀ができないなんて、本当に申し訳ないな」
申し訳なさそうに苦笑いするA
服装は普段と違い黒を多く含んだ服だった
彼女は普段、黒い襟衣の上に白いジャンパースカートを着用しているが、今は白い襟衣の上に黒いケープを羽織っていた
そして、白い飾帯をカチューシャの様にして頭を飾っている
それに少し違和感を感じたようだ
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