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◯与謝野晶子
「おやァA。怪我はないかい?妾が特別に治療してやってもいいさ」
依頼から帰ってきた貴方に
医務室から出て来た彼女が目を光らせて云う。
危険を察知して首を振るも、ジトッとした目で見つめ近付く。
「本当かい?
ぺらっと服を捲られて有無を云わさず触れられる。
貴方のお腹に怪我がない事を確認出来たとしても暫くは離れずに触り続けている。優しく、それでも悪戯に擽ったく。
「っふふ、こうやってちゃんとアンタの肌を触るのは初めてだよ」
ー
◯宮沢賢治
「んんっ…お腹いっぱいです…」
牛丼屋さんで元気良く牛丼を食べた彼は眠たげに目を擦る。
微睡んだ声で貴方に擦り寄り、体を預けて貴方の体に腕を回した。
眠気で温かくなった彼の体温を感じて、幼くも可愛らしい彼の顔を間近で見れるのはきっと貴方の特権。
「…Aさんを抱き締めると、気持ちよく眠れます……」
さらりと彼の頭を撫でると「もっと撫でてほしい」と言わんばかりに更に頭を近付ける。そう云えば、好きな人の匂いには安眠効果があるんだとか。
「すぅ…すぅ…」
ー
◯芥川龍之介
「重畳。任務は終わりだ」
二人で任務を無事遂行しマフィアへと帰るとき。
ふと貴方を見た瞬間、貴方の頬に血液らしきものが伝っているので、目を開き手を伸ばす。
「…頬に……ッ」
乾燥した青白く体温の無い手で貴方の頬に触れる。
どうやら不意に敵の血液が着いてしまった様で、貴方が怪我をしたと勘違いした彼は、其の事実に気付いた瞬間手を引いた。
「…ッ忘れろ」
背を向け歩く彼。
貴方には見えない様に自身の触れた手を見つめている。手を引いた際も何処か名残惜しそうにしていた。
…そんな気がする。
ー
◯中原中也
「よう、お疲れさん。…なあ、ちょっと善いか?」
仕事が終わる頃。
書類を持つ手を止めて、ほんの少し疲れた様子の彼は貴方に近付く。
腰と背中に片方ずつ腕を回して、肩に頭を置いて安心したような吐息を吐いた。
「何だよ…手前が寂しそうな面してたンじゃねえか」
物珍しそうに彼を見つめれば、反発する様にそう云う。
それでも実際は、彼が貴方に触れたいと長らく待ち望んでいたから。そんな彼をクスッと笑うと、彼は少し頬を染めた。
「俺にはそう見えたんだよッ!」
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作者名:花提灯 | 作成日時:2024年1月30日 13時