11話 運命 ページ13
A「そんな…。」
いつのまにか隣合って居るAから驚愕の声が聞こえてくる。
自分の中でしっかり区切りをつけていたつもりだったが、やっぱり無理だ。
泣く。泣きそう。
好きな人に嫌われるのは、こんなにもつらくて、苦しいものなのか。
しかし、嫌われるのは、僕の運命。
そうでもしないと、ミハルたちが報われない。
でも…。
Aに嫌われるなんていやだ。
お願い、嫌わないで…。
そんな感情が、ふつふつと湧き上がってくる。
そんな相反した気持ちは、しだいに僕の心の中をぐちゃぐちゃにかきまぜていって、絶望のビートを生み出す。
息詰まるような不安。
しかし僕は、ただただAが次の言葉を紡ぎ出すのを待つことしかできなかった。
A「…チアキ。」
ふわっ…っと、僕は横から暖かくて、とても安心するものに、優しく包み込まれた。
それがAだ、と認識するのに、僕には少しばかり時間が必要だった。
チアキ「え…、A…?」
錆びついたように、僕の首はゆっくりにしか動かなかった。
でも、ようやくAが見えて。
なんで、どうして。
視界にいるAに。肩にかかっているAの重力に、存在に、優しさに。
理解が追いつかなかった。
Aは僕を嫌うはずなのに、なんで、こんなに、近くにいるの…?
どうして、こんなに、暖かいの…?
Aside
A「チアキ…。チアキ。」
いてもたってもいられなかった。
チアキに、そんなにも哀しい過去があったなんて。
そう考えると、どうしてもチアキを抱きしめたかった。
チアキが苦しい時に、私は何も出来なかったから。
だから。それなら、今しかない。
泣きそうなチアキの隣で、少しでも安心を与えてあげたい。
第一、私で効果があるのかは分からない。
でも、そんなことを考える暇は私にはなく、泣きながらチアキに抱きつき続けた。
チアキ「A...?な、んで...。」
なんで、って、私はチアキのことが好きだから。
好きだから、ずっと一緒にいたい。
A「だって...っ!チアキと、一緒にっ、居たかった、から...!」
泣きながらも、全力で話す。
チアキ「嫌いに、ならないの...?」
私が...?チアキを、嫌いに...??
A「なるわけないじゃん!だって...だって...!」
好き、言える自信がない。
でも、伝えなきゃ。
当たって砕けるなら砕けてしまえ。
A「チアキが、好きだから...!!!」
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咲代(プロフ) - 名無しさん» いえいえ!大丈夫です!お気遣いありがとうございます〜! (2021年11月24日 20時) (レス) id: dcb9ce1573 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - なんか、今更ですけど、ご挨拶もなしに、いきなりすいません(汗) (2021年11月24日 15時) (レス) id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ありがとうございます! (2021年11月22日 17時) (レス) id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
咲代(プロフ) - 名無しさん» リクエストありがとうございます!今書いてる番外編的なのが書き終わったらになるので、かなりお待たせしてしまうかもしれませんが、それでもよければ書かせていただきます! (2021年11月21日 18時) (レス) id: e37cac3f41 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - あの、リクエスト、いいですか?あの、チアキ君の熱→倒れる、っていいですか? (2021年11月21日 15時) (レス) @page19 id: 4fca5b8289 (このIDを非表示/違反報告)
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