取り繕えるならそうしたい_△ ページ23
美緒 side
ジャニーさんが儚くなっても、当日から真緒を含めたJr.の最前線の先輩たちは通常通り動いていた。
私は暇さえあれば座っていたレッスン室の椅子が空いているだけで涙が出そうなのに。
今日だって、せっかく7人でレッスン室に集まれたのにみんな心ここにあらず、という感じ。
こんな時、真緒ならみんなの士気を高めて、意識が1つになるような一言を言ってのけるんだろうけど、私にそんなリーダーシップはない。
結局、レッスンはみんな集中できなくて、5人が高校生なこともあって22時には終わった。
私は真緒があの小さなレッスン室を使ってなければ拝借しようかと思って、それがある階までおりた。
そのレッスン室の手前のすごい広い部屋で何やらSixTONESの次のツアーの会議が行われていた。
そこにはタブレットを持った真緒の姿もあった。
6人に混じって堂々と大人に意見している姿にまた敗北感を感じる。
思いっきり演出変えてるし……。
まだ私たちが中学生だった頃、祖父母宅では2人部屋だったため真緒が夜中まで何か資料と模型を照らし合わせているのを迷惑だと思っていた。
それがこうやって実を結ぶんだな、と思った。
私は演出なんて全くわからないし、真緒と潤くんが事務所で多分そういう話をしている時も私が近づくと2人はそういう話は辞めて私が入りやすいような話題に変えてくれてた。
きっと、それは2人がひどく優しいからで、私に演出を学ばせたくないとかではない。
現に私が真緒やいろんな先輩たちに何か質問した時は私が理解するまで付き合ってくれるし、答えくれないなんてことはない。
そろそろ、私も何かすらを始めて変わらなければならないのだろう。
私は与えられるばかりで、それ以上のことをやろうだとかはしてこなかった。
だからだろう。
悲しむ暇さえなさそうな真緒の仕事の内の何一つも変わってあげられるものがない。
元々、週替わりだったラジオも真緒ほどは上手く回せないだろう。
この夏、何か始めよう。
そんな決心をした夜だった。
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作者名：m9 | 作成日時：2021年5月17日 11時
