君が1番、とかふざけんな【灰谷蘭】

浮気.32 ページ32

蘭「な、ん、、」
なんでなんでなんで

嘘言ってねぇのに
ホントにAが1番なのに…！

1番って言ったら怒った
前もそうだった

Aが家を出ていった日
あの日もそうだった

Aが1番、ってそう言ったら出ていった
考えろ、考えろ、考えろ…！

折角ここまで取り戻してきたのに
今までの時間を埋めてきたのに

やっと笑いかけてくれるようになったのに…！
このままじゃAが言ってしまう

今度はきっと2度と会えなくなる
それだけは…

考えろ、考えろっ…！
俺とAの立場が逆だったとして…

Aが男を連れて歩いて
俺が逃げて追いかけて、引き止めて、

「蘭ちゃんが1番だよ」って言う
………あぁ、そうか

蘭「Aっ！」
また足を動かしてAを追う

貴「こないで、、ｺﾞﾎｯ…こないでよ…」
再びAの手を掴み

逃がさないようにと力を入れる
貴「もう惨めな思いした、く…ない…」

蘭「…っ、ごめん…ごめん、、そんなこと言わせてごめん…！そんな気持ちにさせてごめ、」

苦しそうなAに
胸が痛くなる

貴「蘭ちゃんといると悲しくなる…！つらい、よ…だから離して、、」

きっとAが出せる精一杯の力で
俺の腕を振りほどき背を向けて行ってしまう

蘭「俺にはA“だけ”だよ…！」
貴「…っ！」

Aの足が止まる
あぁ、やっぱりコレだった

そう確信して言葉を続ける
蘭「1番とかふざけたこと言ってごめん！」

俺とAの立場を入れ替えて気づいた
「蘭ちゃんが1番だよ」なんて言われたら

きっと俺は発狂してたことだろう
1番ってなんだよ

2番とか3番がいるのかよ
俺だけじゃねぇのかよ…っ！

俺以外にランクインしてる男を
迷わず殺してたに違いない

ずっと、無意識に、
Aをこんな風に傷つけてた

蘭「単純なことなのに気づかなくてごめん…俺にはAだけ、Aだけだ…！2番とかいねぇから！」

好きになったのも、俺から告白したのも
傍にいたいのも、触れたいと思うのも

身体じゃなくて心が欲しいと思ったのも…！
蘭「全部Aだけ…」

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