君が1番、とかふざけんな【灰谷蘭】

浮気.26 ページ26

蘭「ここ、パスタが有名なんです」
貴「そうなんですね」

知ってる
前に話したことあるから

いつか行きたい、って
聞いてないと思ってたけど聞こえてたんだ

ここに来るまでも遠回りしたのを知っている
道を知らなかった、なんて

そんな訳ないでしょ
禁煙されてる道だからだ

喫煙所がない行き方だ
…選んでくれたってこと

前に行きたいって言った場所は
ここじゃなくても沢山ある

全部覚えてるかは知らないけれど
この場所を選んだのも

映画館から私が今住んでる家に
戻っていくルートだからだ

全部わかるよ
ずっと見てたから

今までしたことがないくらい
私のことを考えて今日の予定を組んでくれたんだって

でもわからない
蘭ちゃんの気持ちだけがわからない

何でそこまで頑張るのかも
私にこだわる理由も、わからない

蘭「どうですか？」
貴「ん、美味しいです…！」

分からないけど
分からなくても、

ずっとしていなかったデートが出来るのも
私のことを考えてくれてるのも

嬉しくて、嬉しくて、
頬が緩む

感情が隠しきれずに
嫌でも顔に出てしまう

車道側を歩いてくれる
歩幅を一生懸命合わせてくれる

煙草の匂いも最近はしなくなった
…好きだ

今の蘭ちゃんは
私だけを考えてくれてる気がして、好き

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