35歳、初恋。＜SN＞ (ページ27)

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もぬけの殻ページ27

始業のチャイムピッタリにいつも教室へ向かう。けれど、今日だけは10分前から教卓でずっと事務作業をこなしていた。

「起立、礼。」

チャイムと同時にガタガタと椅子が引きずられる音で教室が満たされる。日直が朝の挨拶をする。

…やっぱり、いない。

目の前の席はポッカリと空席のまま。
どこに行ったんだよ…

出席確認をとっていても、二宮のことが頭から離れない。

いつも通り…よりも、早く起きた。
生徒より遅く起きるのはどうかと思って、5時半にアラームを設定して、ちゃんと起きた。

ベッドは、もぬけの殻だった。

部屋中、どこにも二宮はいなかった。

…もっと早く出て行ったのか？
でも、5時半よりも早く…？

なんで、二宮がちゃんと寝る姿を確認しなかったのか。

きっと、多分…俺が寝た後、あいつは出て行ったんだろう。
あいばも、いない。
相葉の家にきっと帰ったんだろう

…なんて、楽観的すぎた。

「せんせいっ！！」

朝礼が終わり、教室から出ると同時にぶつかりそうになったスラリとした影。

「相葉お前、遅刻するなら連絡、」

「にのっ、先生のとこ…っ来てないですかっ？」

「…っ来た、けど…」

「じゃあ、にのっ、今どこにいますか？！」

「…分からない。泊めたけど、朝にはいなかった…

…待てっ！相葉！」

ひどく焦った顔をした次の瞬間、相葉は走り出していた。

相葉の背中はあっという間に見えなくなった。

…けど、追いかけようとはしなかった俺は教師として最低かもしれない。

相葉が二宮のことを見つけてくれるんじゃないかって…

「どこに行ったんだよ…」

今すぐにでも探しに行きたかったけれど、これからある職員会議はどうしても抜けられなかった。

…二宮をいじめた、4人の処分について。