35歳、初恋。＜SN＞ (ページ11)

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素顔ページ11

「…っ！

…ごめん、起きてたのか。」

もうそこに触れていた手をそっと握られ、眼鏡越しに初めて目があった。

想像の何倍も綺麗な飴色の瞳。
吸い込まれそう…

ドクドク

心臓が、うるさい。

「…さくらいせんせい、僕なら平気なので、
帰って大丈夫ですから…」

「いやでも、体調は…二宮！！」

俺を押しのけて、起き上がる同時、膝から崩れ落ちる。冷たいフローリングに横たわる体を慌てて抱き起こした。

「怪我してないか！？
…っ、二宮、めがね…」

「え…？
あ…っ！見ないでっ！！」

覗き込んだその瞳は涙で潤んでいた。

無防備にさらけ出された素顔は幼さが残っていて、でも、すごく…綺麗。

二宮は俺の腕の中で眼鏡がないことに気付くと、
両手で顔を覆い隠した。

「二宮…？」

「…お願い、潤くんには言わないでください…」

今にも泣きそうな声で、か細くつぶやく。

…素顔を見られたってことを？

「…松本さんが、怒るの？」

無言で顔を覆ったまま震える二宮。

…なんだよ、それ。
二宮を誰にも見せたくないって？
そんなの、身勝手すぎる。

「…とりあえず相葉が来るまではいるから。
今のは、貧血？熱は？？」

「貧血…です。」

「じゃあ、足高くして寝よう？ほら。」

掛け布団をめくる。
二宮を抱き上げてベッドに下ろした。

…女みたいに、軽い。

だけど、何故か横になろうとしない。

「二宮？？」

「…あ、の……腰が痛くて…」

顔を真っ赤にして、消え入りそうな声で呟いた。
シャツの裾をギュッと握って俯く二宮。

思わずベッドサイドを見ると、ローションのボトルが目に入って、

……そういう、こと？

二宮の可愛すぎる仕草に熱くなっていた頭が一瞬で冷えた気がした。