35歳、初恋。＜SN＞ (ページ1)

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入学式ページ1

朝早くから駐車場に立ち、ゾロゾロと入ってくる車の整理をしていたせいか疲労感に包まれたまま始まった入学式。

それでも校長の有意義な話にしっかりと耳を傾ける。

…例年通り、緊張や不安からか、姿勢を正して真面目に話に聞き入っている

……かのように見える新入生。

実際は、ほとんどの生徒が体育館を出る頃にはなんの話だったか忘れてしまっているだろう。

時計にチラリと目をやると、まもなく入学式も終わる時間だった。

「…では、先生方はステージの前に並んでください。」

そう教頭がマイクで話した瞬間、さっきまでの静寂は嘘のようにザワザワと騒ぎ出す生徒達。

ふぅ…何回やってもこの瞬間は少し、緊張する。

軽くネクタイを直して、他の先生方に続いて自分の順番のところへ並んだ。

続々と発表され、どんどん自分の番が近付いてくる。

名前が呼び上げられるたびに、2年生や3年生の絶叫が体育館に響き渡る。

「1-4担任、櫻井翔先生。」

キャァァァァァアッ！！！！！

教頭が流れ作業のように名前を読み上げた瞬間、既に俺のことを知っている2,3年の生徒達の悲鳴がキーンと耳を突き抜ける。

その声にかき消されてしまわないよう、声を張って手短な挨拶をする。

「1-4の担任を務めさせていただきます櫻井翔です。
よろしくお願いします。」