すれ違う心８ ページ40
＜雅＞
「なんで、橋の下にいたの？」
しばらくして、智兄が口火を切った。
「我儘言うと、橋の下に捨てられるの……」
酸素マスクをはずしたAが、か細い声で言った。
「そんなことしないよ。それに、Aは良い子でしょ？我儘言わないじゃない」
和の言葉に、Aは小さく首を振った。
「あのね、今度、学習発表会があるの。A、そこでピアノ弾くんだ。聴きにきてって、言いそうになるの…。忙しいのわかってるのに……。でもね、捨てられるのは怖いから、自分で行ったの」
そんなの……。
「我儘なんかじゃねえよ」
貴が話し出した。
「確かに俺ら忙しさを理由にAのこと放っておいてた。ほんとにごめん。でも、Aが思ってることは我儘じゃないし、っていうか、ピアノ弾くなら何とかして聴きに行くし！そんなんで家出とかすんなよ。たまたま良い人が交番連れてってくれたからよかったけど、攫われちゃったらどうすんだよ」
「そうだよ。なんで我儘とか思うのさ。小学生が学校行事を観に来てほしいって思うことが我儘だなんて誰も思わないよ」
俺の言葉に、Aはちょっとびくっと身体を震わせた。
「だって雅兄、話そうとしたとき、我儘言わないで良い子にしててって、言ったよ……」
「俺！？」
「そんなこと言ったの？雅兄」
潤の低い声に俺は冷や汗をかく。
「いや、俺レポートあって、話が長くなるようなら後で聴くつもりで……いや、でも、ごめんなさい」
「ううん、謝らないで……。お兄ちゃんたちが一生懸命お仕事もお勉強もしてるの、知ってるから……」
「ありがとう、A。でもね、兄ちゃんたちが一生懸命働くのも勉強するのも、Aを治したいからなんだ。元気な身体にしてあげたいの。だから、橋の下に行かないでね？誰も、Aを捨てたりしないから」
陽兄が優しく髪をなでて目を見ながらそういうと、安心したようにAはひとつ頷くと、また目を閉じて静かな寝息を立て始めた。
ごめんな、A。
学習発表会のピアノ、絶対８人そろって聴きに行くからな。
続く (更新停止中)
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みんみ(プロフ) - 更新希望です！何度も何度も繰り返し見ています！更新楽しみにしてます！この作品に巡りあえて幸せです！ (2016年10月28日 18時) (
レス) id: e5b883d2de (このIDを非表示/違反報告)
ﾏｰﾒｲﾄﾞ - 何回も読みたくなる程、素晴らしい作品で私のお気に入りです!!更新楽しみに待ってます♪身体に気を付けて頑張ってください(^o^)/応援しています(^^) (2016年10月3日 21時) (携帯から) (レス) id: fa8cf9b19a (このIDを非表示/違反報告)
みんみ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！宜しくお願いします！ (2015年3月16日 16時) (レス) id: d1aa80a540 (このIDを非表示/違反報告)
旅人 - もちろん時間のある時で構いません。応援しております。 (2014年12月10日 15時) (レス) id: 2df0de9b14 (このIDを非表示/違反報告)
旅人 - 更新待ってます。お忙しいのでしょうが、楽しみにしておりますのでどうかよろしくお願いいたします (2014年12月10日 15時) (レス) id: 2df0de9b14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らら | 作成日時：2013年12月15日 7時
