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弐 ページ2
マヨイガ。
本来は山奥にひっそりと佇んでいるお屋敷で、迷い込んだ者には祝福を与えるとされる。
四月、ピカピカの高校一年生になった私は、
建物がごちゃごちゃと入り組む街中で、偶然、
その時何を考えていたのか、よく覚えていない。
気が付くと、林立するビルが通学路から消えていて。
日本庭園。
背後、彼方に立派な門が聳えていて。
今思えば、明らかにおかしい。
それでも、そのときの私は引き返さずにふらふらと小路を進んで行った。
何かに魅入られたように、誘われるように歩いた。
辿り着いたのは大きなお屋敷。
その軒先に、彼は立っていた。
桜吹雪が視界をピンク色に染める中で。
「天」と書かれた、舞楽の雑面のようなものを着けた小さな神様は、
ふわりと笑って、嬉しそうに言ったのだ。
「おかえり」と。
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作者名：ルウ | 作成日時：2022年8月8日 8時
