41話 ページ45
『…それでね、この前相手した鬼が…』
靴を脱ぎ、居間に上がったAは羽織と刀をとると鱗滝の前に座り、最近あったこと、それについて思ったことなどを話し始めた。
鱗滝はその様子を静かに見て、聞いて、たまに相づちを打ったり言葉を返しながら答えた。
一旦全部話し終わると、鱗滝は肩をおろして
鱗滝「相変わらず大変だな。元々人見知りで静かなお前のことだ、人の上にたって堂々と期待通りの姿を演じるのは辛かろう」
『そうだね…誰にも言ってないから皆知らないけど、これ、結構疲れるんだよ。全部嘘なわけじゃないけど、つくってる私は辛い』
そう言ってAは顔の筋肉をぐにぐにと揉んだ。でも疲れてるのは体だけじゃない。
『本当、いつから伝説になったんだろうね、私は。皆の期待はいつもいつも私の予想を上回る。別に、人の上にたつ人間が誰しも凛としてるわけではないのにさ。本当の私は厳しいわけでも、ちゃんとしてるわけでもない。昔は暴走したときもあったけど今はそんなことできないし…。弱虫で臆病で誰よりも人見知りで、ろくに人とも接せられないような人間…なのに。今の私は周りの期待からつくられた«私»であって、本物の私じゃない。…でね、鱗滝さん。私は思うんだ。今の形がこれからもずっと続きそうにはないって。いつか、いつか絶対、私は壊れてしまう気がする。…どう思う？』
日頃他人に言えない愚痴や不安が次々と口から吐かれていく。今更、本当の自分のことなんて長年いるこの鬼殺隊の誰かに言えるはずもない。
だから溜まっていく。この疲れが。悲しみが。不安が。恐怖が。もし本当の自分を知られたとして幻滅されたらどうすればいいのか。受け入れてくれる人なんていないだろう。いっそのこと期待に押し潰されたいくらいだ。
そんな重い悩みでも聞いてくれるのは育ての親の鱗滝だけ。真剣に、でもたまに冗談めいて助言をくれる。だから今もこうしてここにいられるのだ。
鱗滝「…そんなんじゃ結婚なんてできんな、A」
『うっ…！！』
ほら、今だってそうやって言ってくれる。だから大好きなのだ。鱗滝さんだけがわかってくれる。
『い、いいですよ、別に。結婚なんて眼中にないし。それに付き合う人も暇もないし。子供も別にほしくないし…独り身でも…別に』
鱗滝「(義勇ならわかってやれると思うのだがな)」
一方、ゴニョゴニョと呟くAを見て鱗滝はそう思うのだった。
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らぴすらずり★(プロフ) - 銀狐的なさん» ありがとうございますうううっ！！！読んで下さり、それに加えてコメントも…泣きます(ToT)最近更新出来ていなくて申し訳ないです…どうぞこれからもよろしくお願いします！！！ (2019年8月14日 7時) (
レス) id: b227a58786 (このIDを非表示/違反報告)
銀狐的な - 面白い！イラスト欲しいです。 (2019年8月11日 6時) (レス) id: c9fba58961 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - チデンさん» ありがとうございます！！！泣そのコメントが心の支えになります泣これからながくなりそうですがよろしくお願いいたします！！！！ (2019年2月6日 20時) (レス) id: 9f6d511478 (このIDを非表示/違反報告)
チデン - 更新頑張ってください！応援してます！ (2019年2月6日 19時) (レス) id: 7411494241 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - (^^)さん» あああ、ありがとうございます！！泣なかなかコメントがこなくて実は困ってました(笑)本当にご協力ありがとうございます…！面白いだなんて…！最高の誉め言葉です！今のところあんまりキャラが出てなくてすみません(´;ω;｀)これから更新頑張っていきますね！(^^♪ (2019年1月26日 16時) (レス) id: dde58539fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らぴすらずり★ | 作成日時：2018年12月29日 0時
