34話 ページ38
木々の中を移動していくのは難しそうに見えて結構簡単である。
柱なら体得しているであろう全集中の呼吸・常中を使えば身体能力は飛躍的に向上する。この効果を使って瞬間的にブーストをかけると速く移動できたりする。
ちなみに今、Aが使っているのは全集中の呼吸・
『(チッ…面倒くさい。結構すぐ近くに二匹でかたまっている…。1体からは違う鬼の気配もする…絶対食ってるな…)』
正直現場に立っていると思っていたより酷かった、とかいう話はよくある。そんなのは慣れっこだ。大事なのはどう対応するかだ。柱としても、調査士としても、半人半鬼の存在としても。
『(でもこれが私だったら…)』
一瞬不安が胸をよぎったがすぐに振り払った。そんなことあるわけない。絶対にない。下に向きがちな顔を無理矢理上げようとAが唇を噛み締めた時だった―
「ああああっ!!!」
『!?』
向かう先で、人の悲鳴が聞こえた。多分選別を受けた者だろう。
悲鳴の聞こえた場所を探して上から見下ろすと、椿色の羽織を着た少年が左腕と右足をそれぞれ1体ずつ鬼に食われている最中だった。その片方は先程Aが感知した鬼だ。
『っ…!!』
ついいつもの癖で助けようと刀に手をかけたAだったが、不意にその手を止めた。
{選別の様子に手出し、口出しはおやめください}
そうだ、これは選別だ。手出しは無用なのだ。
上げていた腕を下ろしながらAはその事実と、どこかもどかしいような苛立ちを感じていた。
『(我が主は…私が仕事でここに来ることを知っていながらあの言葉を…!どこまで見透かしているんだ、あの暇人は!私が鬼に手を出すのをわかっていて…!)』
本当にタチが悪いとつくづく思った。
全くそのせいで助けに行きたいのに行けない。でもだからといって少年が食われるところを«見ている»わけにもいかない。どうにかせねば。
?「猪突猛進!猪突猛進!」
『…ん?あ、あいつ!』
手段を考えているAの視界の端におかしな影が現れた。あの猪だ。どうやらこちらには気づいてないらしい。
『丁度いい…あいつを利用しよう』
Aはニヤリと笑った。
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らぴすらずり★(プロフ) - 銀狐的なさん» ありがとうございますうううっ!!!読んで下さり、それに加えてコメントも…泣きます(ToT)最近更新出来ていなくて申し訳ないです…どうぞこれからもよろしくお願いします!!! (2019年8月14日 7時) (レス) id: b227a58786 (このIDを非表示/違反報告)
銀狐的な - 面白い!イラスト欲しいです。 (2019年8月11日 6時) (レス) id: c9fba58961 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - チデンさん» ありがとうございます!!!泣そのコメントが心の支えになります泣これからながくなりそうですがよろしくお願いいたします!!!! (2019年2月6日 20時) (レス) id: 9f6d511478 (このIDを非表示/違反報告)
チデン - 更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 7411494241 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - (^^)さん» あああ、ありがとうございます!!泣なかなかコメントがこなくて実は困ってました(笑)本当にご協力ありがとうございます…!面白いだなんて…!最高の誉め言葉です!今のところあんまりキャラが出てなくてすみません(´;ω;`)これから更新頑張っていきますね!(^^♪ (2019年1月26日 16時) (レス) id: dde58539fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らぴすらずり★ | 作成日時:2018年12月29日 0時