33話 ページ37
何か耳元で声がする。
いい声じゃない。まるで鴉の鳴き声みたいな不快な…
鴉「カァ!カァ!日ガ沈ンダ!!オキロ!オキロォ!」
…本物の鴉だった。
『うう、…わかったわかった…今起きる…』
物凄く耳がキンキンする。仮眠だと意識していたからかそこまでだらだらと眠気はない。張り付いた目をパチパチと開いて閉じて、やっとしっかり意識が戻った。
『うわ、暗いね。もう始まっちゃった??』
羽織を着直して体制を整えると、入口の方に目を凝らす。
『結構いるね、相変わらず。何人かいい子がいるじゃないか…。この中から柱は出るかな?』
今回の目的も忘れて、新しく入ってくるであろう後輩達の顔を見るA。完璧に気配を消しているのでどれだけ身を乗り出しても気づかれない。
『(あの蝶の髪飾りの子はどこかしのぶに似てるな…必ず生き残るだろう。後は…目つきの悪いモヒカンと精神病んでそうな金髪君…くらいかな。残りは食われて終わりか)』
何人か目星をつけておいて後々追いかけようという作戦だ。他の柱みたいに継子がほしいわけではないが。
『これは、もう大体集まった感じなのか?』
鴉「ミタイダナ!」
『そうか……………………………ん?あれは』
階段の方から誰か来ないかと見ていたら丁度一人の少年が上ってきた。額に火傷のような傷跡があり、狐の面をつけている。
とたんにAの周りの空気がざわっと変わった。
『あの面と着物は鱗滝さんの…!!あの子は誰だ?例の子か…?』
Aの視線が一点に集中した時だった。
?「猪突猛進!猪突猛進!!」
『…は?』
視界の隅に、一心不乱に走っていく猪を見た。いや…正確に言えば猪を被った男、だ。
『…なんだ、あいつ…。なんか煉獄みたいな奴が出て来たな…』
鴉「馬鹿ダナ」
『言ってくれるな、強ければいいんだよ。個性がどうでも』
そう言いながらもAの顔は引きつっていた。本人もあまり個性の強い人間は好まないようだ。扱いに困る。
『もう始まったのか…って、おっと、危ない。自分の仕事を忘れるところだった』
ハッと我に返ったAは急いで鬼の気配のする場所を見つけ、移動した。
?「ん?なんか…とても強い藤の花の匂いがする…」
例の少年はくん、と鼻を動かすと夜の空を見上げた。
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らぴすらずり★(プロフ) - 銀狐的なさん» ありがとうございますうううっ!!!読んで下さり、それに加えてコメントも…泣きます(ToT)最近更新出来ていなくて申し訳ないです…どうぞこれからもよろしくお願いします!!! (2019年8月14日 7時) (レス) id: b227a58786 (このIDを非表示/違反報告)
銀狐的な - 面白い!イラスト欲しいです。 (2019年8月11日 6時) (レス) id: c9fba58961 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - チデンさん» ありがとうございます!!!泣そのコメントが心の支えになります泣これからながくなりそうですがよろしくお願いいたします!!!! (2019年2月6日 20時) (レス) id: 9f6d511478 (このIDを非表示/違反報告)
チデン - 更新頑張ってください!応援してます! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 7411494241 (このIDを非表示/違反報告)
らぴすらずり★(プロフ) - (^^)さん» あああ、ありがとうございます!!泣なかなかコメントがこなくて実は困ってました(笑)本当にご協力ありがとうございます…!面白いだなんて…!最高の誉め言葉です!今のところあんまりキャラが出てなくてすみません(´;ω;`)これから更新頑張っていきますね!(^^♪ (2019年1月26日 16時) (レス) id: dde58539fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らぴすらずり★ | 作成日時:2018年12月29日 0時