半人半鬼の私【鬼滅の刃】

26話 ページ29

最早、あいさつなんてどうでもいい。




ただでさえこの人は話をそらすんだ、さっさと本題に入ってもらった方がいい。




産屋敷「どうしたんだい、A。どこか慌てているね」




カチンッ―




『誰のせいだとお思いですか！！貴方のあの手紙のせいでしょうが！』




産屋敷「大丈夫、緊張しなくてもいいよ。Aにとってもいい話だからね」




『貴方がそれを言うんですか！』





本当に本当に、本当に！この人は面倒くさい！15年間もずっと傍らにいるともう純粋な服従心も腐ってくる。扱いにくいわ、頑固だわ、悪いところを抜き出せばキリがない。




『…で？一体何だというんですか…本部に苦情でも入りました？…外務交士の』




眉間に皺を寄せて睨みつけている私とは裏腹にお館様はニコニコといつも通りに微笑んでいる。




…嘘くさいんですよ、貴方のその微笑みは。




産屋敷「いや、苦情はきていないよ。これは外務交士自体の話ではなく、A自身の話だよ」




『…私自身の？それはどういうことですか』





いやいやいや手紙にばっちり外務交士のことについてって書いてあったじゃないですか！結局貴方は何がしたいの！？




内心ツッコんだり、少々荒れながら返答を待つ。




相手が相手だから予測ができない。




産屋敷「Aはいつも頑張ってくれている。今までのどの剣士(こども)や柱よりも。それは私もちゃんとわかっている。知っている。Aが誰よりも凄い事を成し遂げてきたのを」




ゆっくりとゆっくりと語るお館様の顔を見ながら話を聞く。何かじぃんとくるものがあるが知らないことにしよう。




産屋敷「この15年を振り返ってみると色々な事があった。これからもあるだろうが私は…」




『今振り返らなくていいですから本題を聞かせて下さい』




話を遮って割り込む。こんなの、普通に柱の前でやったら失礼だといわれるが、二人っきりだしいいだろう。




産屋敷「…そうだね、では話そうか」




お館様はもうあきらめたようで、すぅぅと息を吸った。




ごくりと自分の唾を飲み込む音がする。




産屋敷「Aのその力をここでとどめるわけにはいかないと思ってね、次の剣士達(こどもたち)にもそれを受け継いでいってほしいんだ。柱の継子のようにね…。そしてA、君の負担も減らすために」









「Aに外務交士の仕事から退いてほしい」

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