半人半鬼の私【鬼滅の刃】

18話 ページ20

さっきのあの壁を越えてしまえばあとは一本道をひたすら歩くのみだ。




『(我ながらよく考えたものよ…)』




次第に遠ざかっていく黒い棟を横目で見ながらAはフッと笑う。




«あの棟»が建てられたのは2年前。




«特別隔離棟»が建てられたのは3年前。




つまり









迷路の先に見えるあの黒い棟はただのフェイク、偽物だ。




中には使われなくなった機器と、これまたフェイクのデータが置いてある。




もしあの棟にたどり着かれてしまった時、相手をより騙す為の策だ。




では本物の特別隔離棟はどこにあるのか？




『(調査隊の教訓は、)』




Aが歩いてきた一本道はやがて黒い棟を通り過ぎ、山の裏までのびていた。




勿論山の裏側も迷路はずっと続いている。




特別隔離棟を見つけるコツは難しく、簡単である。




『(《モトを探れ》だ)』




そう、«もと»を探ればいい。




その«もと»とは「基礎」か、「原因」か、はたまた「根本」か。




多くの«もと»を考えよ。




Aは考えたのだ。





この教訓を知っている者だけがたどり着けるように。





愚か者は決してたどり着けぬ、それこそ特別な棟の場所を。









一本道を進んでいくと、山の、一番暗く、一番木や植物が生い茂っている場所にたどり着く。




そこは昼でも暗い。雨が降っても木の傘で免れるような、そんなところ。




普通なら近づかない。いや、近づけない。




この場所の植物は勾玉の中の液体に反応して道をつくる。




さっきのリス達も元々ここに住んでいた動物達だ。




ザッザッザッ…




自然と切り開かれる道を進めば見えてくる。




木々や植物達と完全に同化したような色の扉が。




それが入口。




ガチャ…




草木に隠れていたドアを開けば、その先には地下へと続く階段がある。









鬼殺隊調査隊の特別隔離棟は地下、及び









この山そのものである。

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