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石鹸の香りで誤魔化さなければ
北山のうなじに噛みついてしまうかもしれない
Ki「…んン、ふじがや。ふは。くすぐった、」
そんなこと、彼は知る由もないのだろう。カーテンの隙間から差し込む日差しに目を細めながら、熟睡する愛らしいかたまりをきつく抱きしめた。
rrr...
サイドテーブルに置かれたスマホが2台同時に震える。一つは自分の、もう一つは北山のものだ。同時に連絡してくる人物といえば、かなり心当たりがあった。
タマミツ帰ってきてるんでしょ。俺もメシ行きたいし、今夜例のとこでどう?
例のとこ、とは
北山が日本にいた頃によく通っていたバーのことだろう。二人とも週刊記者を撒くのによく使っていたようで、何度となくそこでご飯に行っていたことも知っている。
玉森はモデルとしてはかわいい後輩だが、北山が絡むと食えないタイプの男だった。
Ki「…メール?だれ、」
F「タマ。メシ行かないかって。」
もぞ、と腕の中で北山が目を覚ました。眉間のしわを見られたのか、寝起きが良くないながらに、掠れた声で問いかけられた。
Ki「ほーん。…んふふ、久々だなぁ。」
F「行くって返事しとくよ?」
Ki「ん。ありがと、」
ふじがやも行くでしょ?さらに深くなった皺に気付いているのか、眠そうに目を擦りながらも北山はまた問いかけてくる。
本当に。そういうところが…
F「きたやま。好きだよ、」
Ki「……z」
F「えちょ、寝てる?!」
些細なことに気付いて、気遣って——
そういうの、俺にはしなくたっていいのに。
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チカ(プロフ) - kkeeさん» ありがとうございます!こちらにも感想をくださり、ドラマNG風も面白いと言って頂けて嬉しいです。自分のペースで…という温かいkkeeさんのお言葉を執筆の励みに頑張りますね(*´ω`*) (2017年3月23日 9時) (レス) id: f2bec80607 (このIDを非表示/違反報告)
kkee(プロフ) - チカさん、完結おめでとうございます。どちらもそれぞれに楽しく面白かったです。こちらはドラマ撮影っぽく書かれたりして新しいなぁと感じました。新作も楽しみにしてます。ご自身のペースでのびのび書いてくださいね。 (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0990e7aceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チカ | 作成日時:2017年3月12日 21時