【食欲の？(F-side)】 ページ17
Ki「なに？藤ヶ谷」
…おかしいな
目の前には食べかけの
チョコレートケーキとチーズケーキ
F「…北山、いらない？」
Ki「俺コーヒーだけでいいって言ったじゃん」
F「…」
思いきって誘ってみたら『男2人でスイーツ？』なんて突っ込みながらも付き合ってくれた
彼の休みに合わせた水曜日の昼間
電車に揺られて向かった隠れ家カフェ。案の定、他に客はいなかった
どうしても決められなくて
小さいから2つでも大丈夫かなと思ったのに
F「うーん」
緊張のあまり喉を通らないなんて
Ki「…どうした？」
"どちらも"という選択
それで2つとも駄目にしてしまったら
何だか虚しいだけなのに
F「何かお腹一杯になっちゃって」
こんな俺を見て、北山は呆れた顔をするのかな
そう思ったら彼を見られなくて
自然と下を向いてしまう
Ki「んだよ、具合悪いのか」
ひょいっ
F「えっ」
何で要らないって言ったケーキ食べて…
Ki「『コーヒーだけでいい』ってのは、遠慮しないで全部食べろって意味。助けて欲しいなら早く言えよな」
F「っ、北山」
Ki「甘っ…よく2つも頼んだな」
F「ごめん」
Ki「何で謝んの？普通にうまいし(笑)」
顔を上げると
目の前でもぐもぐする可愛らしい君がいて
F「ふふ、お腹一杯」
やっぱり2つは無理だったな
Ki「それさっきも聞いたし」
違うよ、北山の顔を見て言ったんだよ
なんて言葉はアールグレイに溶かして飲み込む
Ki「ほら、帰るぞ」
F「えっ…」
やっとのことで取り付けた約束なのに
もう、終わり
財布を出した北山を手で制止して『俺が誘ったから』と会計を済ませる
F「帰ろうか」
Ki「ん。」
また、電車に揺られて数十分
F「降りないの？」
北山、ここだよね
Ki「病人に一人で帰れなんて言うかよ」
F「え？」
だって俺が降りるのはここからまだ20分先で
往復したら当然2倍はかかる訳で
F「俺の家…分かって言ってる？」
Ki「当然」
F「何、それ」
めちゃくちゃ嬉しいんだけど
この不安定な気候のせいか、今日は気持ちの浮き沈みが激しい
F「ね、北山」
Ki「…」
F「ありがと…って、寝てるし(笑)」
"どちらも"という選択
"どちらも"という贅沢
ケーキみたいに残す訳にはいかないから
F「2つとも選んで…どっちも駄目にしないようにしなきゃ」
君の幸せと
俺の幸せ
"どちらか"という選択
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チカ(プロフ) - kkeeさん» ありがとうございます！こちらにも感想をくださり、ドラマNG風も面白いと言って頂けて嬉しいです。自分のペースで…という温かいkkeeさんのお言葉を執筆の励みに頑張りますね(*´ω｀*) (2017年3月23日 9時) (
レス) id: f2bec80607 (このIDを非表示/違反報告)
kkee(プロフ) - チカさん、完結おめでとうございます。どちらもそれぞれに楽しく面白かったです。こちらはドラマ撮影っぽく書かれたりして新しいなぁと感じました。新作も楽しみにしてます。ご自身のペースでのびのび書いてくださいね。 (2017年3月22日 21時) (レス) id: 0990e7aceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チカ | 作成日時：2017年3月12日 21時
