ヲタクがリアルに転生したよ【ツイステ】 (ページ3)

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「……グリムたん？」

「ふな！？お前！なんで俺様の名前知ってるんだゾ！！？」

「グリムたんだ」

とても虚ろな目をしているAの脳は、現在高速で情報を処理していた。まず私死んだ。ジュースいっぱい飲んで死んだ。そして目の前には火を吹いているタイプのグリムたん。なるほどつまり。

「ッッツイステの！！！世界だ！！！！！！」

「ええい！いいから服をよこすんだゾ！！」

恐らくエナジードリンクのカフェインがまだ切れていないのだろう。彼女の話には筋というものが存在していないのは明らかだった。明らかに監督生らしからぬ発言が無視されて話が進むところを見るにおそらくこれは"原作沿い"の類であろうか。なんて、Aは根拠の無い考察をしてみるのの元の頭があれなので説得力がまるでない。なんにせよヲタクは歓喜で震えた。

そして嬉しくなったヲタクは向かってくるグリムを両手を振り回してなんとか捕まえようとする。その様子はまるで狂気。キシャシャシャと気味の悪い鳴き声を発する彼女に驚いたのか、グリムは進行方向をぐるりと変えて、一目散に走り出してしまった。

自分の目の前でふわふわもふもふ、愛くるしい猫ちゃんが逃走を図ったとなれば答えは一択であろう。一秒たりとも迷わず一択。かかとの角度をかえこれは加速の準備。ぐっと筋肉に力を入れて、一直線に追尾する。

「グリムた〜ん！吸わせて〜！！！」

「ぶなあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」

彼女は、引きこもり帰宅部でもクラウチングスタートをする機会があり嬉しかったと後に語る。

原作であればここで、監督生、つまりAはグリムから逃げ学園内を走り回るはずなのだが、今泣きべそをかきながら逃げているのはグリムであり、それをとても気味の悪い顔で追いかけているのは監督生ことAだ。見事なまでに立場逆転である。

これが人間相手なら犯罪になりかねないが、相手はモンスターでしかも可愛い。これはきっと神様が、さあ、誰も見ていないうちにやる事やってしまいなさい、と私にご褒美をくれたのだろう。なんという慈悲深さ！次に神社に行った時は500円賽銭しよう！彼女の脳の作りはとても都合が良いらしい。

そして逃げるグリムを追いかけ追いかけ、到着した場所はおそらく図書室だと彼女は判断した。なんかいっぱい本浮いてるし。