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いやはやしかし、少しセンチメンタルに語るグリムはどうしようもなく可愛いかった。しゅん、と萎れて見せる耳を見てAは激しいキュートアグレッションを覚えた。
「に"ゃッ!つめてっ!天井から雨漏りしてやがるんだゾ!ふぎゃっ! また水が降ってきた! オレ様のチャームポイントの耳の炎が消えちまう〜!」
「あう、あ、あぅ」
「まあこんな雨漏り、魔法でパパーっと直しちまえばいいんだゾ。……って、オマエ魔法使えねえのか。ププーッ!使えねえヤ……」
グリムはそこで思わず言葉を失った。なぜってAが自身の心臓あたりを必死で抑えながら血走った目で自分のことを凝視していたからである。普通に漏らしそうになった。
「フウ、フウ、とりあえず雨漏り酷いしバケツ探そうか」
「行ってきますなんだゾ」
グリムは捕食者が目の前に現れた時はとにかく距離を取るべきだと思ったので、敵の指示に従ったフリをしてAから離れることに成功した。
我ながら頭の良い戦法だと思った。オンボロ寮とか言うこの建物は相当に暗かったが彼は猫の目である為余裕で端の方に転がっていたポリバケツを数個見つけ、それを引きずりながらAに「持ってきたんだゾ!」と渡した時、己の愚行に気がつく。「あ、ありがとうねぇ、グリムちゃ…」と掠れた声を出すAの目は変わらず血走っていた。なんか出血も始まっていた。
せっかく距離を取ったというのに、また戻ってきてしまったのだ。獰猛な捕食者はちいちゃな声でダメだ心臓への負荷があまりにも大きすぎるこうも可愛いと潰してしまいたい等とのたまっておって、グリムは本当に、オレ様今日で死ぬのか…と思った。
対してAは脳内シュミレーションで召喚したツラの良いイケメンにキュートアグレッションの矛先を向け散々したので、ようやっと動悸が収まったところである。
汗ばんだ手でグリムからバケツを受け取り、取り敢えずさっきから真上から雨水がポタポタ降ってくるのを阻止しようとバケツを頭に被った。ホコリが鼻に入った。
「ギャーーーー!おおお、お化けえええええ!!」
「えドコドコ見合い知りたい触れ合いたい、触れ合うために己も霊体となりこの世界を彷徨いたい」
少し離れたところからグリムの叫び声がしたのでAは少し困った。触れ合うためには動かなければならないが自分は今視覚が機能していないから。
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らぱ(プロフ) - オパールさん» 🥰🥰🥰🫂🫂🫂 (11月12日 21時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - らーぶっ‼💗 (11月10日 18時) (レス) @page15 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - ヒトさん» ええあありがとう✨✨✨ (2022年4月11日 21時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト(プロフ) - 好きです(言い逃げ) (2022年4月10日 21時) (レス) @page7 id: ffef8138f8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - しろつめさん» ありがとうございます😭✨自己投影は何よりも褒め言葉なので嬉しいです…!元気になりました!クセの強い本作品ですが何卒! (2022年2月26日 8時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
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