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だがしかし泣いているのだ。視界はうるうると見えづらいし、頬に涙の伝う感覚がはっきりとあった。そうしてふと、見える景色が先程と違うことに気づく。すぐそこに赤い頭があった。
……嗚呼、嗚呼！嗚呼！
背筋にぞっと悪寒が走る。きいんと耳鳴りがする。死臭に鼻が曲がりそうになる。
理解した分かった把握した理解してしまった。私は今、死体とな
そう認識した瞬間に意識が途絶えた。
次に目が覚めた時、私はボロいベッドの上だった。いつもより少し早い朝だ。
さっきまで止まってきた心臓はバクバクと激しく音を立てていて、それにほっとしてまたいつものように支度をする。重い。
「おはようございます、Aさん」
一階に降りれば今日もユウくんが笑顔で挨拶をしてくれて、グリムも一緒に食卓へついて美味しい美味しい朝ごはんを食べる。
今日も3人で笑いあって私も自然と笑顔になる。
重い。嗚呼重い。彼へのほんの少しの罪悪感がまるで鉛のようだ。笑みを浮かべる私の脚を引っ張っているような気がしてならない。
そして今日も、
「……おはよう、A、いい朝だね」
彼は途切れ途切れな言葉を紡いで、昨日よりも大分辛そうというか悲しそうに今日もそこに立っていた。その事に少し安心している自分がいた。
途端、あの夢がフラッシュバックして私の脳内に鮮明に流れ込んでくる。必死な息遣い、苦しそうな声色、全て夢で、ある意味私の妄想だと言うのに、
嗚呼彼に可哀想なことをした。
少しくらい優しくしてやらないと！
私はいつしかそんな思考に駆られていたのだ。ほら一度そうならば歯止めが効かないから、なのに。
「リド、ルさ、おはよう、ございます……いい朝ですね」
そうしておまけに口角をぐいと上げてみた。
お世辞にも愛想笑いと呼べるような代物でもない苦しげな顔であったと思う。
しかし彼はその瞬間に、花が咲いたかのような笑顔を浮かべた。色のなかった頬を桜色に染めて、うっとりと、いやなんとも形容しがたく、それでも確かに幸せそうに笑った。
私の言葉ひとつで嬉しそうになったり悲しそうになったりする彼にまた滑稽だという思いが出ると同時に、さっきの夢がそれを一瞬でかき消した。
私は酷く混乱する。彼を可哀想だと、滑稽で惨めでどうしようもないと認識する度に、夢でのあの苦しそうな守ってあげたくなるような！枯れた声でどうしてと繰り返す彼が浮かんできては離れない。
それを見てリドル・ローズハートはまた幸せそうに笑った。
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らぱ(プロフ) - オパールさん» ほんとに刺さってるみたいで良かったです〜！ありがとう！ (11月12日 21時) (
レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - あああ！性癖にぐっさり！刺さりました！ (11月10日 18時) (レス) @page40 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 青藍さん» ありがとうございます🤤嬉しすぎて溶けそう🤤伝わりましたよ、好きになってくれてありがとう🥳🥳🥳 (2022年5月24日 16時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
青藍(プロフ) - うわぁ、ものすごい作者様を見つけてしまった……どこか大切なところが欠けてるような、ずれてるような、そんな感じで、どこか不気味で不安定な感じにどきどきして、歪んでどろどろした、そんな感覚がとても好きです、上手く伝えられなくてすみません、応援してます。 (2022年5月24日 13時) (レス) @page40 id: 2e61a566e8 (このIDを非表示/違反報告)
らぱ(新)(プロフ) - 愛涙さん» わわわ私を喜ばせる天才ですか！言って欲しいこと全部言ってくれて嬉しすぎる！✨ありがとう私も大好きだ！！！ (2022年1月14日 21時) (レス) id: c719b83a52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らぱ | 作成日時：2021年12月3日 22時
