ep 15...鍵 ページ34
亮「おはよ。相変わらず早いんやな」
蘭「おはよう」
亮が久しぶりに早く出勤してきた
オフィスで二人っきりになるのは
数年ぶりだった
亮「これお願いしていい？」
亮に書類を渡された
蘭「うん！」
亮「あのさ………」
蘭「ん？」
亮「彼氏とは順調？」
蘭「あ、うん。まぁね」
亮「そっか…」
蘭「亮こそ、いつ籍入れるの？
結婚するって聞いてからもう1ヶ月以上経つけど」
亮「まだかな。
瑛斗の実の父親とまだ決着ついてへんから」
蘭「そっか。
瑛斗くん元気？」
亮「あーうん！元気やで！」
蘭「そりゃあ亮がいれば、元気がないわけないか(^^)」
亮「やと…ええねんけどな」
蘭「…なんかあった？」
亮「いや、大丈夫大丈夫！なんもないよ！」
蘭「……ほんっとわかりやすいよね！
私にはわからないことが亮にはあるんだと思うんだけど、進みたくないときは進まなくていいと思う。
逃げるも道だから。
たまには振り返ってみてもいいんじゃない？」
亮「…………」
蘭「…なーんて、ちょっとドラマみたいなこと言っちゃった！
給湯室行ってくるね！」
亮「待って」
亮に腕を掴まれた
亮は下を向いて眉間にシワを寄せながら
その場で深呼吸をしていた
…なんとなく、涙を我慢しているように見えた
蘭「…これで、最後だよ？」
私は優しく亮を抱きしめた
亮「…蘭っ…ごめっ…ごめん蘭っ……ごめんなっ……」
泣きながら
何度も私の名前と
何度もごめんと言う亮
私は涙を全力で堪えた
そして亮の背中を摩りながら
蘭「頑張れっ…亮…」
そう言って私はオフィスを出た
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作者名：蘭 | 作成日時：2017年11月25日 20時
