episode 129 ページ29
藍沢「久しぶりだな」
亮「お久しぶりです…」
藍沢「率直に言うと、俺はAとは付き合ってない」
亮「…！！！
そんなん…どっちゃでもええです」
藍沢「あの日、Aから転院したいと申し出があって、俺は大阪の病院を紹介した。
大阪なら実家も近くだったし精神的な療養にはいいと思った。
そして…それと同時に、君たちの事務所を辞めて、君たちへの伝言も預かったんだ」
亮「Aちゃんは完治できたんっすか？」
藍沢「身体の方は大丈夫だ。
ただ精神的な面は、完治といえば嘘になる。
でも声も去年出るようにまで回復して、いい方向には向かってる」
亮「そうっすか…」
藍沢「東京から大阪に出るときに、Aは携帯番号を変えたいと言い出した。
車椅子だったから俺がショップまで付き添ったんだけど、そこでAは…この携帯を手放さなかった」
亮「手放さなかった…？」
藍沢「君との繋がりがもうこれしかなかったからだ」
亮「Aちゃん……」
藍沢「Aは翔北にいるときからいつも君の話をしてた。
"いつも味方でいてくれて、私の変化にいち早く気付いてくれるんだ"と…そう言ってた。
藤さんが亡くなった喪失感を埋めたのは、間違いなく君しかいないんだ。
だけど何故そんな君や関ジャニ∞から離れようとしたかは…っ」
亮「その後はわかってます。
Aちゃんの性格ですから、多分引き止めてもそれが余計に苦しめるのはわかってたんです」
藍沢「でもそんなAの性格をわかって、この携帯を解約しなかったAの気持ちは…もう言わなくてもわかるだろ？」
俺との繋がりがこの携帯しかなくて
でも
俺たちに迷惑かけたくないという気持ちの中
"これ持ってたら亮ちゃんに電話したくなるから、藍沢先生が持ってて"
と言って、藍沢先生は5年間持ち続けてたらしい
藍沢「やっとかかってきたな。
会うんだ、Aに」
そう言って渡された紙に書かれた大阪の住所
亮「ありがとう…ございました！」
俺は走り去ろうとした
藍沢「錦戸くん！」
亮「…？」
藍沢「俺は…Aが好きだった。
でも、Aには俺じゃない」
俺は藍沢先生に微笑んで
ファミレスを出た
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作者名：蘭 | 作成日時：2017年9月12日 23時
