生きるレシピ (ページ30)

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ep 09...真っ直ぐにページ30

《智久side》

亮ちゃんと別れて、俺は施設に帰ってきた。

蘭が学校でいじめられてたなんて
想像したこともなかった。

情けねぇ。

毎日誰よりもこんなに近くにいんのに。

あのとき、亮ちゃんに
殴られていればよかったかな。

智「ただいまー。」

す「おかえり！
あれ智久、蘭知らない？」

智「え、まだ帰ってきてねぇの？」

す「どこか寄り道してるのかしら。」

智「毎日紫耀くんと帰ってきてるし、大丈夫だろ。」

すみれちゃんとそんな会話も虚しく、

20時になっても帰ってこない。

今まで連絡なしにこんなことは一度もなかった。

智「どうしよっ…どうしよすみれちゃん！」

す「智久落ち着いて！
とりあえず、学校の先生と、紫耀くんに電話してみたら？」

智「うんっ！そうするっ…！！」

震えた手で亮ちゃんに電話する。

智「もしもし亮ちゃん！？」

亮『もしもし智？
どないした？』

智「蘭が…蘭が帰ってこなくて…。」

亮『え！？白石が？』

智「今まで、こんなことなくってさ、とりあえず蘭が行きそうなところ捜してみるから亮ちゃんも出れる？」

亮『おん、わかった。
俺も捜してみるわ！』

紫耀くんにも電話して、

俺は施設を飛び出した。

蘭、ごめん。

辛かったよな。

苦しかったよな。

俺、蘭の彼氏なのに…

こんな追い詰めるまで
何も気付かなかった。

頼む。

無事に帰ってきてくれ…。