生きるレシピ (ページ29)

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ep 08...4 ページ29

《紫耀side》

晩飯食ってゴロゴロしてたら

智さんから電話がきた。

蘭が帰ってこないと。

俺はすぐさま家を出た。

よく考えたら今日1日の蘭は
なんか変だった。

体育のあと、落ち込んでるのか
なんつーか思い詰めた顔をしてて。

まぁ朝から智さんと付き合ったって聞かされて
俺も混乱してたけどさ…。

学校、

よく行く公園、

手当たり次第に捜した。

紫「はぁ…はぁ…どこにいんだよ、蘭…。」

＿＿＿＿＿＿あ…。

もしかして…！！！

幼少期の記憶を辿り、俺が向かった先。

紫「…いてくれよ。」

蘭が昔住んでた団地だった。

ドアノブに手をかける。

ガチャ……

開いてる…！！！

ゆっくり入ると、

そこにはガランとした部屋に

ポツンと蘭が寝転んでいた。

紫「蘭。」

蘭「………紫耀。」

んだよ、その不満そうな顔。

紫「智さんだと思った？笑」

ちょっと強がった。

だって、見つけたのが俺だって
すげぇ嫌な顔しえたんだもん。

蘭「…ここ、紫耀にしかわかんないでしょ。」

紫「ん？
てことは俺に見つけてほしかったってこと！？」

蘭「はは…ほんと単細胞。笑」

俺は蘭の横に川の字になって寝転んだ。

紫「…みんな、心配してっぞ。」

蘭「…うん……。」

紫「久しぶりだなここ。
俺もよく来たなー。」

蘭「懐かしいよね。」

紫「…なに、考えてたの？」

蘭「ここで、家族が家族じゃなくなったなぁって。」

紫「うん…。」

蘭「あのとき、妹が亡くなって、お母さんもいなくなって…、私が今普通に生活してるのってきっと意味があるんだよね。」

紫「ったりめぇだろ！？
え、つか、蘭変なこと考えてねぇ！？」

蘭「ばか、ほんと単細胞！笑」

紫「あせったー；；」

蘭「…聞きにきたの。
誰のために生きればいい？って。」

紫「…は？
んなもん、自分のために決まってんだろ。」

蘭「自分の、ため…？」

紫「なにがあったか俺にはわかんねぇけど、みんな自分のために生きてるよ？
ワガママに、欲むき出しで生きてる。
それが人間なんだよ。
誰かのために生きようなんて、自分のために生きてる人間が考えればいいんだ。」

蘭「…紫耀、なんか今すっごいかっこいい！笑」

紫「はぁ！？今だけ？笑」