生きるレシピ (ページ26)

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ep 08...道ページ26

《亮side》

俺はずっと逃げてた。

現実から、

愛情から、

あいつからも。

亮「はよ帰れって言うてんのん聞こえへんか？」

蘭「やだっ…私今日は帰らっ」

亮「帰れ！！！！！」

白石の体がビクッと動いた。

亮「…お前は、俺の……生徒や。」

蘭「……っ。」

あの日から何度も俺は嘘をつき続けてきた。

嘘をつくことで

自分を守ろうとしてきた。

それが、相手のためやと

大切な人のためやと

そう思いたかった。

蘭「……ほんとに私が帰ると思ってんの？」

白石の目から強さを感じた。

蘭「あんたが昔何があったなんて私は知らない。
知りたいとも思わない…！！
でもね、錦戸。
もういいよ。大丈夫だよ。
私は、いなくならないよ。」

白石の言葉に、

俺は泣き崩れた。

たった17歳の女の子に

俺は糸を緩められた。

そして、白石の温もりと

シャツから香る柔軟剤の香りに包まれた。

俺の腕は、自然と白石の腰に回した。

俺は知らん間に

白石のことを生徒として
見られへんくなってた。

なにが、とか

どこが、とか

言葉で説明するんは難しくて

ただ、闇に塞がってたこの2年間の俺を

この暗いトンネルの中で
三角座りしてた俺を

あいつの存在が俺を動かした。

再び男として

"誰かを守りたい"

そういう衝動にかられた。

重い腰を、

手を差し伸べられたんやなくて

自分で立ち上がろうって

こいつのために生きたいって

白石はそう思わせてくれた。

男は誰かのために生きなあかん

やのに、最近の俺は

自分のためでもなく

誰のためでもなく

なんのために生きてたんか

正直わからんかった。

蘭「私ね、＿＿＿＿＿」

白石が、幼少期のことを話してくれた。

蘭「誰も信じられなかった。
生きる意味もわかんなかった。
そうやっていつも言い訳して、殻に閉じこもって…。
でもね？錦戸に出会って世界が変わって見えたの。
紫耀や智くんだって、こんなに近くにいたんだって、錦戸に出会えて初めてわかったの。
だからね…あんたが生きてる意味は絶対にあるからね！」

亮「……おん…っ。」

そっか。

俺、ちゃんと人のために生きれてたんや。