生きるレシピ (ページ22)

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ep 07...君ページ22

《蘭side》

これでいい。

これでいいんだ。

って、何度も自分を言い聞かす。

昼休憩のあとは体育。

蘭「……っ。」

紫「蘭、どうした？」

蘭「…な、なんでもないっ！
男は早くあっちの部屋！」

紫「わーってるよ！；；」

体操服が、

ケチャップで染められていた。

はは…

いつまでこんなことが続くんだろう。

体育の時間、

私は水道のところで体操服を洗った。

蘭「……っ…」

あれ…？

おかしいな。

どうして涙が出るんだろう。

私は、

私は今まで

もっともっと辛い経験をしてきたんだから

こんなことくらい

これくらいのことで

なに泣いてんだろ。

洗う手を止め、

私は汚れた体操服を持って屋上に来た。

蘭「…落ち着く。」

首を上げて空を見ると、

頬から涙が伝う。

亮「おい。」

ビクッ

蘭「…にしき…ど…？」

壁にもたれながら腕組みをしている

錦戸が後ろに立っていた。

亮「…サボりか？」

そう言って錦戸は私の横に座った。

蘭「………。」

亮「ちなみに俺もサボりや。」

蘭「え……？」

ニカッと笑う錦戸。

亮「お前さ、いつもこうやって1人で泣くんか？」

蘭「……だったらなに？」

亮「…お前には智がおるやろ。
男は女に頼られたいんやで？」

蘭「智くんはいつだって側にいてくれてるもん。」

そうだよ。

智くんはいつだって、

いつだって……。

亮「…そっか。
やったらなんも言わん。」

こいつ、なにが言いたいの？

蘭「錦戸ってさ、いつもなに考えてるかわかんないよね。」

亮「俺が？」

蘭「だっていつも自分の感情とか言わないじゃん。」

あのときもそうだ。

わかってるはずなのに、

何も聞こうとしない。

亮「……確かに、そうかもな。
いつからやろなー…
他人にも、自分にも諦めるようになったんは…。」

錦戸が、少し寂しい顔をしていた。

蘭「錦戸こそ、彼女いるんでしょ？
女だって、男に必要とされたいんだからっ！」

亮「必要としてんのにな、中々うまいこといかんわ。」

だっさい男やわーって

錦戸が無理して笑ってた。

＿＿＿＿＿そんな、悲しい顔しないでよ。

そんな無理して笑わないでよ。

心から、笑ってよ。