生きるレシピ (ページ17)

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ep 05...3 ページ17

《蘭side》

紫「蘭～！」

錦戸が教室から去って少し経ってから
紫耀が教室に入ってきた。

私は慌てて涙を拭いて、

紫耀は何も言わず

何も聞かず

帰ろうぜ

って。

甘えていいんだと、

最近何度も思うことが増えた。

たくさんの人に

私は守られてこられたのだと

最近気付かされることが増えた。

帰り道、

蘭「…あっ、いっけない。
今日の宿題の教科書机の引き出しに忘れちゃった…。」

紫「俺の貸してやろうか？って言いてぇとこだけど、俺常に置き勉だからなぁ…」

蘭「それはそれで問題だよ(笑)
ごめん、私取りに行ってくる！」

紫「俺も行くよ！」

蘭「大丈夫^_^
ありがとね。また明日！」

そう言い残して私は教室に戻った。

すると私の机の周りに何人かの女子が群がっていた。

な、に…？

「んだよこいつ！」

「亮ちゃんに頭ポンポンなんかされちゃってさ！
しかも平野ともずっと一緒だよね」

「ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃね？まじムカつく！！！」

そう言って私の机は1人の女子に蹴られた。

中に入っていた教科書は床に落ちて

「あ、これ今日の宿題のやつじゃね？」

「明日宿題できてないこと亮ちゃんにチクってやろうよ！(笑)」

「おーそれいいね！」

……っ。

私は教室に入らず、クルッと方向を変えた。

亮「あれ？白石？まだおったん？」

錦戸の声が背中から聞こえてきた。

蘭「あ、うん、忘れ物…しちゃって」

亮「忘れもん？
…そこに突っ立ってへんと、中に入ったらえええのに。」

すると教室の中にいた女子たちが
突然出てきた。

「あ！亮ちゃん♪」

「どうしたのぉー？」

亮「…いや、チョークセット忘れてもうたなぁと思って…」

「私取ってきてあげるよ！」

気持ち悪くなって、私はその場から逃げるように

走り去った。

亮「あっ、ちょっ、白石っ…！！！」

そんな錦戸の声が薄っすらと聞こえた。

いじめか。

人は何かを得ると、

何か損をする生き物なのでしょうか。

欲張りになっては

いけないのでしょうか。

蘭「人生って、不平等だね…」

甘えられないよ。

誰にも。