生きるレシピ (ページ14)

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ep 04...3 ページ14

え…？

なに？

どういうこと？

智くんの鼓動が、私の肌に触れる。

智「小さいときから俺は蘭のこと見守ってきた。
蘭は妹みたいな存在だった。
でも…、見守るだけじゃやなんだ。
もう妹じゃやなんだよ。」

鼓動の速さと共に、智くんの腕の力も強くなる。

智「蘭のことはこれからも守り続ける。
でも、俺だけに守らせてほしいんだ。
俺と付き合ってほしい。」

智くんは私がいつも一番辛いとき
唯一側にいてくれた人だ。

転んで泣きじゃくって帰ってきた日も

体調が悪くて早退してきた日も

友達と喧嘩をして落ち込んでた日も

いつもこの優しい手で慰めてくれた。

蘭「……智くんは、私にとってほんとにお兄ちゃんみたいな存在だし、すごくすごく大事な人だよ？」

この手を突き放してしまうと
もう智くんとは今までの関係でいられないの？

今までの関係じゃだめなの？

蘭「………少し、時間貰えるかなぁ。」

智「ん、わかった。
ごめんな？困らせること言っちまって。」

智くんの腕の力がスッと抜けた。

蘭「ううん…。
智くんのことほんとに大事だから、だからゆっくり考えたいの。」

智「…ありがと。
じゃあ、俺帰るな。おやすみ^_^」

いつも通り、

智くんは私の頭をポンポンして
おやすみって言って

部屋から出て行った。

私はなんだか力が抜けてその場に座り込んだ。

智くんが…智くんが彼氏……？

想像がつかない。

自分にとっての智くんの存在に
充分満足してしまっているからこそ

これ以上をどうすればいいのか。

だけどここで突き放すと

もうあの優しい手にも触れられないの…？

…それはただの私の甘えか。

そうだよね。

よく考えてみればさ、

ここに帰ってこれば必ず智くんがいて。

おはよう、おやすみ

いってらっしゃい、おかえり

って当たり前のようにいつも迎えてくれて。

血の繋がりもないのに

家族みたいになってて。

私に足りないものを全部埋めようとしてくれた人だ。

ううん、

埋めてくれてる人なんだ。