生きるレシピ (ページ2)

今日:10 hit、昨日:9 hit、合計:11,276 hit

ep 01...2 ページ2

紫「担任、錦戸亮…だって。
誰だこいつ？」

蘭「…知るわけないでしょ。」

＿＿＿＿教室。

周りは、ワーワーキャーキャー

"やっと一緒のクラスだね"

と、はしゃぐ女子。

ばかばかしい。

ガラッ

教室の扉が開いた。

蘭「…あ…………。」

亮「はーい！みんな席つけー！」

紫「蘭っ！担任ちょーイケメン！！」

亮「俺の名前は錦戸亮です。
生まれは大阪。担当は国語。今年から教師になりました！」

紫「大阪だって！
……蘭？聞いてる？」

蘭「へっ！？あぁ…そう、なんだ。」

紫「…珍しいな。
蘭がぼーっとしてるなんて。」

亮「早速出席とるでー！」

続々と名前が呼ばれる。

亮「白石蘭！」

蘭「っ…！！」

私は俯いたまま、黙って右手を挙げた。

亮「…？
できればはよ顔覚えたいから、ちょっとでいいから顔上げてぇや。」

そう言って錦戸は私の前まで近づいてきた。

蘭「…っ……。」

紫「蘭っ！顔上げろって！」

私はゆっくり顔を上げた。

亮「…ありがとう！覚えた！^ ^」

………え？

錦戸はそう言って少し微笑んで
教壇に戻り次の出席をとった。

なに？この動悸は…？

人生で初めての感覚だった。

今日は短縮授業で午前で学校は終わり。

紫「あれ？帰んねぇの？」

帰りのホームルームが終わったのにも関わらず
私はまだ席についたままだった。

蘭「…どうしようと私の勝手でしょ。」

紫「…じゃあ、また明日！」

紫耀はそう言って教室から出て行った。

＿＿＿＿まだ教壇に残る錦戸に、私は声をかけた。

蘭「…教師だったんだ。」

錦戸はチラッと私の顔を見て、
また教壇に視線を戻した。

蘭「ここの生徒ってわかってて、どうして取り上げないの！？」

亮「火。」

蘭「は…？」

亮「ライター失くしてん！
そんなときちょうどお前がおったから。
火、貸してくれた借りや！」

なに、こいつ…。

そして錦戸は私の横を通り過ぎ様に

亮「次見つけたら取り上げるから気ぃつけや？」

私の頭に優しくポンポンと手を触れ
教室から出て行った。

蘭「…っ…意味わかんないっ…。」