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だから俺のこともそんなに好きじゃないんじゃないかなって思ってるんだけど、それはそれで違うみたい。かなり好きみたい。有難いよね、そんなふうに直に聞くこともないから、リアルなファンの子の意見は大事にしたいなって思う。
「1人?」
「うん」
「え、1人行動出来ましたっけ?」
「よく知ってるね、なんか大丈夫そう今回は」
「今回だけですか、」
「どうだろ?今後の君次第です」
「Aっていいます、羽柴A」
「Aちゃん、」
「……やば、無理!」
「え?」
砂浜を猛ダッシュして数分で戻ってきたり、謎な行動が多すぎてついていけない時の方が多いけど、結構楽しい。Aちゃんと過ごしてる時間は田舎に帰ってきたくらいの安心感があって、ファンだなんて思わせないような俺の扱いだし、そもそも本当にファンなのか、そして神様なのか、俺?いや、でも適当にあしらわれることもあるし、……違うか。
「次いつ来ますか」
「いつがいい?」
「指定可能なんですか!?」
「不可能だよ」
「……分かってますよ、そんなこと」
「んーじゃあ、月末!来れたら来る」
「行けたら行く、でしょ」
「え、だる笑」
お前絶対ファンじゃねえ。とか言いながら会話を楽しんじゃってる俺がいて、Aちゃんの反応を心待ちにしちゃってる俺がいて、本当どうしようもない感情が疼き出しちゃって大変かもしれない。
この前連れてた名古屋の友達には「ここから始まる恋とかやばくね?」ってボソボソ言われたし、廉には「またあの海女に会いに行くん?」って馬鹿にされるし、未だ何も始まってもない俺らの関係は少しずつ動き出した。
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作者名:詠夢 | 作成日時:2021年9月15日 19時