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ページ31

目覚めたユリは混乱していた。



「ここ…どこ…?
 蘭ちゃん…!大丈夫…なの?」
「俺のこと心配してくれんの?」
「だって…」
「ユリは優しいなぁ…」



起き上がったユリを、
蘭はそっと抱きしめ、背中をトントンと撫でてやる。



そして、悪魔のように優しく言った。



「でもそうだなぁ…
 またお前の親父さんたちが追ってくるかもだしなぁ…」
「私…どうしたらいいの…?
 もう…お母さんも…おばあちゃまも…
 お父さんも…サトシも…私には誰も…」



ユリは蘭の胸の中で泣き始めた。



「蘭ちゃんがいるだろ?
 ユリのことは俺が死ぬまで面倒見てやるから」



付き合っていた時も、
どこか余裕を持ってお姉さん然としていたユリが、
自分に縋りつく様に、蘭はゾクリとした快感を覚えた。



やっとこれでユリは自分のものになったのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アジトにいる間、特に部屋を出る時には、
常に蘭と竜胆のどちらかがユリにひっついていた。



その異様な様子に、
初めこそ幹部たちも驚いていたが、
次第に落ち着きを取り戻したユリが、



「ねぇ…居候させてもらってるし…
 お料理くらい作ろっか…?」



とマジメな顔をして言い出した時には、
それを聞いていた春千夜が呆れた。



「おいおいお前軟禁されてるんだぜ?
 脳内お花畑かよ?」
「しょーもねーこと言ってんじゃねぇよ。
 お前はなんもしなくていーの」
「でも…」
「おいで、蘭ちゃんとお昼寝しようなぁ」



結局2人はそのまま部屋へ消えていった。
その後ろ姿を見てモッチーが言う。



「なぁ…蘭ってあぁいう女がタイプだったわけ?
 あのお嬢さんと蘭じゃ、人間の種類が違うだろ」



「タイプっつーか…
 兄貴はねぇちゃん以外の女は全部一緒なんじゃね」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そして、1週間後。



梵天を常に監視していた、警察の見張りが全て解かれた。



「たまには役に立つじゃねぇかよ、バカ兄弟」
と春千夜が言う。



「で、あのお嬢さんどうするんだ?」と鶴蝶が聞く。



「どうって…
 責任持って、俺が死ぬまで面倒見てやるけど?」



俺ら1か月有休もらうわ〜と言いながら、
ユリと連れて、蘭と竜胆は出て行った。

▼第7部 溺愛→←・



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作者名:あたそ | 作成日時:2023年3月20日 23時

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