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2016年。
アジトへ戻ると、春千夜が待っていた。
「裏切り者は？」
「今頃は魚の餌だなぁ」
望月がソファに腰を下ろしながら答えた。
「んで、これがそいつから頂戴した書類な」
鶴蝶がファイルの山をバンと机の上に広げた。
要塞のようなビルの最上階には、幹部3人が集まっていた。
梵天が裏の世界での力を確固としたものにする、
その仕上げとして、警察権力を取り込む必要があった。
逆スパイとして潜り込んでいた警官を操り、
梵天に関する調書を盗んだのだ。
それぞれの者が自身について書かれた調書を、
ネタにしながら読みはじめた。
「モッチーは公務執行妨害だったよなぁ」
「鶴蝶はいい子だから少ねぇな」
「それに比べて見ろよ、灰谷兄弟のファイル、
5センチはあるぜ？」
春千夜が爆笑していると、外回りから帰着した本人たちが登場した。
「俺らが何？
薬中に笑われるのは心外なんだけど？」
そう言って、竜胆は調書を読み始めた。
蘭はその隣で煙草をふかしている。
「懐いなぁ灰狂戦争」
「おぉ〜」
「関東事変のもあるぜ？
って…え？兄ちゃん起訴されてんじゃん」
「は？お前起訴されてやんの？ダッセェな！」
竜胆の言葉に春千夜が乗っかる。
「は？されてねーよ」
しかし、蘭が書類を覗き込むと、
確かにその書類には起訴相当と書いてあった。
だが次のページには、不起訴処分と書き換えてあった。
そしてそのページには、白井警視より、というメモが付いていた。
白井警視…
その名に蘭と竜胆は見覚えがあった。
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
