▼第5部 運命の分かれ道2 ページ23
蘭は、ユリの祖母のお見舞いにも何度か付き合ってくれた。
蘭が帰った後、ユリはずっと気になっていたことを祖母に尋ねた。
「ねぇ、おばあちゃまはどうして…
蘭ちゃんのこと反対しないの？」
祖母は柔らかな笑顔で答えてくれた。
「そうねぇ…
あなたのお母さんが亡くなった時…
お父さんはすごく後悔してた。
誰かに出会って、恋をして、
その人と過ごせる時間は、当たり前じゃないんだよ。
だから、ユリちゃんにも後悔はしてほしくなくてね。
ただ…ユリちゃんは賢いから分かっているだろうけど…
いつか、あなたたちの進む道が分かれる日がきたら、
その時は、お母さんに恥じない道を選ぶのよ」
なんとなく、その日が来るのはそう遠くない気がした。
――――――――――――――――――――――――
その前日、蘭はユリに電話した。
「明日遅くなりそ〜だから、終わったら電話するワ」
分かった、と電話を切った時、ユリは胸騒ぎがした。
前にもこんなことがあった気がする…
その日結局、電話はかかってこなかった。
―――――――――――――――――――――――――
翌朝、ユリは父に叩き起こされた。
リビングへ行くと、いきなり頬を叩かれた。
「この親不孝者が！」
父の話はこうだった。
蘭と竜胆がまた逮捕された。
チーム同士の喧嘩の中で死者も出たのだと。
そして、灰谷兄弟の身辺調査の中で、
ユリの名前が出てきたと。
2度目の逮捕、
蘭は18歳になっていることもあって、
直接手を下したわけではなくとも、
起訴される可能性もあると。
自分たちの道が分かれる日、
それが今日なのだと、ユリは悟った。
「お前はもう、東京から、
いや日本から離れて、少し頭を冷やせ！」
と言う父に、ユリは泣きながら縋った。
「ゴメンなさい…
2人にはもう二度と会わない。
これからはちゃんと、お父さんの言う通りにする。
お母さんに恥ずかしくない生き方をする…
だからお願い…
蘭ちゃんを助けてあげて…」
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
