君は俺の運命【灰谷蘭】 (ページ3)

今日:14 hit、昨日:29 hit、合計:28,982 hit

・ページ3

その夜、ユリは寝支度をしながら、
日中出会った男の子のことを思い出していた。

母は、ユリが3歳の頃、病死した。
寂しいと思うこともあったが、
警視庁に務める自慢の父と、優しい祖母がいた。

「ねぇおばあちゃま。
　あのおとこのこ、
　わたしとおなじ、めのいろをしていたの…」

「さぁ…今日はもう寝なさい。
　お父さんは遅くなるようだから」

「はぁい…」

また会えるかな…と考えながら、
ユリはそっと目を閉じた。

―――――――――――――――

灰谷兄弟が家に帰ると、
母は興味なさげにこちらを向いた。

仕事の忙しい父の姿は、ほとんど見たことがない。

「お外はどうだった？」
「…」
「今日、ママはパパと外でお食事だから」
「…」

そう言って母は、サンドイッチをテーブルに並べて、
出て行った。

「にーちゃん、またあのこうえんいこうよ」
「いかねーよ」
「でも…」
「これくったらゲームしようぜ」

蘭は子どもながらに敏感に感じ取っていた。

世の中は冷たい。
実の親ですら…
自分たちを受け入れる者などいない。

ただ、初めて一緒に遊ぼうと声をかけてくれた、
自分と同じ目の色をした少女。

夜眠る前、なぜかふと、その少女の顔が浮かんだ。