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家に帰ると、父が険しい顔で待っていた。
「ユリ、座りなさい」
何を言われるのか、大体の想像はついた。
「昨日の事件は知ってるな」
「うん…」
「あの兄弟とはもう二度と関わるな」
「…」
「ユリ？」
「2人のしたことはいけないことだとは思う。
でも」
「でもじゃない！」
大きな声を出す父を、横に座っていた祖母がなだめる。
「どの道、しばらくは少年院に入ることになるだろう。
お前も来年は受験生だ。
俺は…死んだお母さんの分まで、
お前をきちんと育てる義務があるんだ」
母の話を出せば、私がNoと言わないことを、
父は知っているのだ。
そのまま父は部屋を出て行った。
――――――――――――――――――――――――――
どうするべきか、ユリは考えた。
調べたところ、少年院の面会は、親族以外はできないようだった。
そこでユリは考えた。
2人の母の名を、ユリは覚えていたのだ。
一か八かで、母の名で手紙を書くと、2人は返事を寄越してくれた。
手紙を読む限り、2人は全く反省や後悔などしていないようだった。
蘭は坊主頭にされたことが不服なようだったし、
竜胆は早く焼き肉を食べに行きたいとばかり。
どうか、自分との繋がりが、
2人の良心の最後の歯止めになれば…と思ってきたが、
きっともう、彼らを止めることなど誰にもできない。
ただ…それでも、手紙の最後に書いてある言葉に、
ユリは絆されてしまうのだった。
「ユリに会いたい」
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作者名：あたそ | 作成日時：2023年3月20日 23時
