ボイスチェンジャー【lntn】

ボイス7 若尾side ページ7

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先日入社したこの会社では、リモートワークがよく行なわれているらしい。
現在、俺は藤田さんという人にリモートワークでの仕事のやり方をzuumで教えてもらっている。

余談だが、俺は「ジャック・オ・蘭たん」の名前でゲーム実況の活動をしている。通信環境では実況しているときと同じ声を聞かれてしまうため、予防策としてボイスチェンジャーを使っている……のだが、バレないといいな、と思っていた矢先、藤田さん……俺の教育係の人が、俺のファンだったことがわかってしまった。
正直、彼女が自分のイメージキャラクターの描かれたカップを持っていたときは、本当に息が止まるかと思った。シラを切るように、そのキャラクター、好きなんですか、なんて聞いてみる。

そうすると、彼女は輝いたような瞳で俺のどういうところが好きだとかを語ってくれて、かなり嬉しかった。

まくし立てるように話したあとは、茹でダコのように赤くなっていて、可愛い人だな、なんて思った。

この人は俺がボイスチェンジャーを使っていても嫌な様子もせず、偉ぶりもしない。いい人なんだろうな、と思って口元が緩む。

……と思っていたけど、クラッカーを急に鳴らしてビビらせたところは、まだ許せないかも。

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