ボイス35 ページ35
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「カシオレと、たこわさで」
「あっ…えと、私もカシオレで…」
居酒屋に着くなり、彼はすぐ注文をする。
前回の反省を活かして、私もカシオレを頼んだ。店員が返事をしてどこかに行ったのと同時に、若尾さんは私の方へぎゅるんと首を向ける。
「……で、どういうことなの？この2週間、俺、藤田さんにすごく避けられてた気がするんだけど」
「うっ……」
カウンターの席は距離が近くて、ドキドキしてしまう。この雰囲気でさえときめいてしまう自分に一抹の腹立たしさをおぼえつつ、口を開く。
「そ、それは……」
言葉がつっかえて出てこない……そりゃそうだ。
若尾さんが好きでたまらなくて、近くにいると、踏み込んじゃいけないテリトリーのことまで知りたくなってしまうから……なんて、言えたらどんなに楽だろうか。
「お昼とか誘っても仕事が〜って言って誤魔化してたし……何、俺のこと嫌いになった？」
「そんなことない！」
思わず大きな声が出た。幸いなことにそれは喧騒の中にかき消されていく。
「……じゃあ何？」
彼は寂しそうな顔で私を見つめる。
恥ずかしくて目を合わせられず、静かに目を逸らした。
「ちゃんと目見てって…前も言ったでしょ」
藤田さんは忘れっぽいのかな〜！？と語気に少々の怒りを含め、右手で両頬をムニムニと触られる。
「わ、わかっひゃ…わかっひゃ！目見る！」
掴まれている手を引き剥がして、彼の紫色の双眸を見つめる。
「……これ以上近くにいると、若尾さんのこと…もっと、知りたくなっちゃうから…避けてました」
「…え？え、待って？どういうこと」
彼は頭にはてなマークを浮かべる。ゆっくりと言葉を紡いでいくと同時に、顔には熱がこもっていった。
「…私…その……若尾さんが、」
そこまで言いかけたとき、店員さんがカシオレとたこわさをカウンターに置きに来てしまい、うやむやになる。自分でも何を言おうとしていたのかわからなくなり混乱していると、彼は2つ置かれたグラスを一瞥して、乾杯を促した。
「……ゆっくりでいいから、教えてよ」
からん、とグラスが交わされる音だけが浮き出たように耳に響く。まるで、決戦の合図のようだった。
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メタ子(プロフ) - トゲピーさん» 返信遅くてすみません！！ありがとうございますーー！！！！！！ (2022年5月3日 23時) (
レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
トゲピー - はーー！すきーーー！天才かよーー！！！ (2022年4月3日 22時) (レス) @page45 id: 82454dfd4a (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございます！次回作頑張りたいと思います…🤗💕 (2022年2月23日 17時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - 完結お疲れさまでした！この作品の蘭たんとても好きです！次回作も気長に待ってます！ (2022年2月23日 14時) (レス) @page42 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてうれしいです…！気長に待っていただけるとうれしいです〜🤗 (2022年2月23日 11時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メタ子 | 作成日時：2021年6月11日 1時
