ボイス18 ページ18
若尾さんとのオンライン2週目。もう二人とも慣れてきており、若尾さんから質問を受けることも少なくなった。少し寂しい気もするが、仕事をする際に即戦力になる彼はとても頼もしく一緒に仕事をしていて楽しかった。
時が過ぎるのは早いもので、ついにリモートワーク最終日となった。
来週からは若尾さんと一緒にリアルで仕事するんだなと思い楽しみになると同時に、もうこんな仕事の形態で若尾さんと話せないかもと思うと一抹の寂しさがあった。
「はぁ、つっかれたぁ」
休憩時間、彼がそう言いながら伸びをして、ぎしぎしと椅子が画面越しに音を立てていた。
ボイスチェンジャー越しの声を聞くと、やはりデスゲーム感が出て面白い。
コンビニで買っておいたフルーツサンドを食べきり、「お疲れさま」と声をかけた。
「藤田さんもね。眠そうだけど大丈夫？」
「え、あ、そうかなぁ」
実は、本日朝から生理がきていて、眠気が止まらないのだ。顔に出ていたのだろうか。
「ちょっと休憩中に寝なよ、午後なんてお腹満たされてもっと眠くなるし」
「えー、好きな実況者さんの動画見たいからやだ」
ぽちぽちとスマホで蘭たんの動画を漁る。
「……その実況者と俺、どっちが好き？」
急な上に突拍子もないような質問をされてミルクティーを口から吹き出しそうになる。
「なっ……何その質問は」
「いや、俺のほうが好きだったら俺の言うこと聞いてくんねぇかな〜って」
にや、とこちらを見て笑っている若尾さん。
「それは……その、実況者さんはずっとファンやってるし……実況者さんのほうが好きかな……」
「え〜俺のほうが好きなんじゃないの〜？あんな夢まで見といて……あれ願望でしょ」
「ばばば、バカ！！！願望じゃないから！！」
顔が沸騰したように熱くなる。若尾さんのことを好きな気持ちをごまかしているつもりではいるが、バレバレな気がする。
「じゃあその赤い顔は何なの」
にんまりと得意げに笑った若尾さん。その顔がずるくて、どうしようもなく好きで、私は観念して机に突っ伏した。
「〜〜っ、寝る、時間になったら起こして」
「はいはい」
かなわない、この人に。いじめ倒されているけれど全然嫌いになれないし、むしろ好きになっていく。恋心とは厄介だ。ズブズブ沼に沈むような感覚が襲ってきても、それが心地よくなってしまう。たまらなくなって、ぎゅっと目を閉じるのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メタ子(プロフ) - トゲピーさん» 返信遅くてすみません！！ありがとうございますーー！！！！！！ (2022年5月3日 23時) (
レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
トゲピー - はーー！すきーーー！天才かよーー！！！ (2022年4月3日 22時) (レス) @page45 id: 82454dfd4a (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございます！次回作頑張りたいと思います…🤗💕 (2022年2月23日 17時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - 完結お疲れさまでした！この作品の蘭たんとても好きです！次回作も気長に待ってます！ (2022年2月23日 14時) (レス) @page42 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
メタ子(プロフ) - しいなさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてうれしいです…！気長に待っていただけるとうれしいです〜🤗 (2022年2月23日 11時) (レス) id: 304efcf4b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メタ子 | 作成日時：2021年6月11日 1時
